「熱いから気をつけろ」
「ん、……ありがとう」
コトリ、と湯気のたつマグカップが置かれる。この匂いはきっとココアだ。気を使ってくれているのか、さっきと同じように隣に座ってくれた。
「あと、腫れる」
「 、あ………………うん」
今まで持っていたタオルを取られて、氷を包んだタオルを渡される。冷たくて気持ちいい。
「ちょっとは落ち着いたか」
「…………ん」
「怖かったんだろう、」
「え……?」
「…………─いいや、気にするな。いつまで泊まるんだ?一応明日明後日は土日だから授業はないが、生徒会の仕事は?」
「、えっ、と……生徒会は行っても行かなくても多分どっちでもいいと思う……来週末の歓迎会が終わるまでは雑務だと思うし…、明日も泊まってもいい?日曜は帰るから」
そうだ。来週末には歓迎会がある。逃げきれるなら逃げきりたいけれど、捕まったら、デート。せめて普通の人に捕まりますように。
「それは好きにしてくれていい。ただ、下着は新しいのはあっても部屋着は俺ので我慢しろよ。制服は洗濯機に投げておけ」
「うん、ありがとう。なあ雅也、」
「なんだ、」
「……もうちょっとこのままでいい?」
「…………、寝るなよ」
「わかってるよ」
彼の肩に頭を預けたまま、ゆっくりと目を閉じた。
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shiori
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