「………………大丈夫です……すみません……」

できるだけ端に寄って身を丸くする。生徒会専用席は2階席なのだが、円形になっていてソファ席だ。まさか自分が座ることになろうとは。

「うわあ、いつもにまして人やっばいねぇ〜」

タッチパネル式のメニュー一覧。それを弄りながら七恵先輩が視線を1階に向けた。つられて俺も1階を見れば、何人もの生徒と目があって慌てて見るのをやめる。見るんじゃなかった。

「樋坂君は?何か頼む?」

「あ、いえ…いりません」

「デザートとか、いらない?」

「!、デザート、」

それは欲しいかもしれない。その一言で単純にも少し食欲が沸いた俺はおずおずと副会長さんに近付いて、メニューパネルの画面を見せてもらう。頁には日替わりデザートと載せられていて、今日は苺パフェみたいだ。生クリームと練乳が沢山盛られていた。

めっちゃ美味しそう……


「…………、……」

「頼んでおくよ」

「えっ、」

「食後ね」

ピッ、と注文確定のボタンを押される。ここの料金システムは学生証に埋め込まれているチップで認証され学費のついでに雑費で支払いされるのだが、今確実に先輩の支払いになっていた。なんてことだ。

「いま、お金が」

「うん?」

「、ご馳走になります」


断りはいらない。
有無も言わせずそう笑顔で語られて黙って受け入れるしかなかった。


しっかり味わおう。



mae ato



60/143 / shiori








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