*柴麗視点

「くっそウゼェ」

何とか風紀委員室から逃げてきたものの、昨日の怪我が痛んできた。普段なら捕まることなんてないが、そのせいで反応が鈍くなっているのが原因だろう。

「………あ…?…アイツ、またあそこで」

校内にある小規模な庭、というよりは裏庭だ。
でかい方は正門側にある。

そこにあのクソ野郎曰く鈴葉サマとやらが寝転がっていた。腹の辺りに白猫が丸まっている。

「つーか、役員があんなとこで寝てていいのかよ」

テラスや温室それこそ正門側の庭ならまだしも、裏庭だ。俺は生徒会なんてどうでもいいが、敵意剥き出しの奴だっている。そいつらに知られたり誰かにリークでもされりゃあ餌食に違いない。

ただ、アレに手をあげたとして

「…………見返りは殺されそうだけどよ」

睨んだだけでこの有り様だ。

「!…、…桐神……?」

通りすぎようとして、見知った顔が視界に入った。何となく身を隠してその様子を伺えば、一旦辺りを見回した桐神は側にあった購買の袋と上着を拾って寝ているソイツを抱き上げた。猫はその拍子に逃げていったが、当の本人は起きる気配はない。


「…………生徒会室か……?」


そのまま何処かへと去って行ったが、俺にはどうでもいいことだ。

丁度タイミングよく場所が空いたわけだし、一眠りしよう。



mae ato



58/143 / shiori








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