「つ、着いた……」

遠かった……!

喧嘩売ってるのかと思うくらい、生徒会室と間反対の場所に風紀委員室はあった。その中間地点に事務室。引き返す時でもよかったが、早いことに越したことはないのでそのまま先に教務へ提出。
残るは言うまでもない。
一応返してもらったネクタイはつけた。

委員長さんが出てきたら嫌だなあと控えめに目の前の扉をノックする。


「……………、……………」


反応はなし。
いない…………?

それはそれで、ホッとするけれど、改めたくもない…。念のためもう一度ノックすれば、今度は普通に扉がひらいた。

突然すぎてノックした姿勢のまま、その人物に目を向ける。予想通り不良臭極まりないが腕章はしているので風紀の人だろう。如何せん委員長さんしか顔を覚えていない……。この人に渡していいのかどうなのか。

「………………」

「………………」

「…………何の用?」

「………えっ…と……生徒会から新入生歓迎、会……の」

「………………」

「、委員長さんはいらっしゃいますか……」

「いねぇけど」

「そうですか……」

「………………」

今の数秒で寿命が縮んだ気がする。どうやったらそういう色に染まんのって髪だしピアスしてるし威圧感漂いすぎなんだよ…。

「それ、渡せばいいの?」

「、え」

「渡せばいいのって聞いてんの」

「あ、はい……そうです」

「ふーん、あっそ」

「…………」


ああ……帰りたい。頑張るってこういうことなんだろうか。紙切れを渡すだけだというのに…。返す言葉もなくそのまま見つめ合う。受け取ってくれたら俺は帰れる。生徒会室に帰れる……。

そのときだった。

今まで動かなかった風紀委員さんの視線が俺の後ろに動く。

なんだ?と思って俺も後ろを向けば明らかに人を無理矢理連れてきてる委員長さんが見えた。


しかも連れられてるあの人って、あの時の…………


まじかよ。


mae ato



55/143 / shiori








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