「……はぁ、」


生徒会室へ向かいながら、今日何度目かの溜め息をつく。俊は授業へ行ったので気恥ずかしい思いをすることはないのだが、依然処理が追いついていない頭を整理していたり。

「…………(俊も相当アレだけど、今まで気づかなかった俺も俺だよな……)」

いや?でもつまりアイツどの部屋でも勝手に入れんの……?

まずいつから──…

考えれば考えるほどゾッとするような疑問が生まれていく。別に悪い奴ではないと思ってるけど……

ウンウンと頭を捻りながら、もう少しで生徒会室というところ、不注意でどんっと誰かにぶつかってしまった。

「……っ、す、すみませ……!──げ、…」

「…げ、って」


七恵先輩……!


「いや、その、お、おはようございます……」

「おはよ〜、待ちくたびれるとこだったし。これ、樋坂ちゃんにプレゼント」

「……え?」

はい、と紙袋を渡される。
大きさのわりに重さはない。

「ちゃーんと渡したよ?じゃあね〜」

「あ、ちょ……」

「お仕事ガンバって」


制止の声は届かず。

先輩は生徒会室とは真逆の方向へと行ってしまう。
わけも分からず取り残された俺は、反射的に受け取ってしまった紙袋をそっと覗いてみた。

「……ネクタイ、と……シャツ……と?……紙?」

なんだ?と思ってそれを取り出せば、前年度、今年度、と比較されたような数字が書かれている。桁数すごいけど、一体何の………って


「予算か……!」

すっかり副会長さんに頼る気でいた俺は、予算だろうそれにびっくりする。あの人一応仕事するんだ……。

これで記入すればあとは持っていくだけ。

大きな仕事は一旦これで落ち着くが、生徒からの目安箱等の雑務は日に日に山積みになっているので、暇はなさそうだ。


mae ato



53/143 / shiori








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