「ん、……」
朝……にはまだ早い時間だとは思う。目覚ましも鳴っていない。ただ、なんだか違和感を感じて目を開けた。
けれど薄暗くてよく見えなくて。
ちょっと苦しい……?
そう少し身を捩ったときだった。
「─流石に、気づきましたか」
「え…………?」
「でも、駄目ですよ。もっと早く気づかないと……」
「っ……な、なに……ッン──」
ぐち、と音が聞こえた。
この声─、
「……話の続きです。動きませんから、締め付けないで」
「ぁ……、俊……ッ?」
暫く、なにがどうなっているのか理解できなかった。けれど段々と意識がはっきりしてきて、この違和感と苦しさは多分、俊のが……中に、入っているからで──
同時に手が動かせないことにも気づく。頭の上で括られているみたいだ。
「こ、これ、」
「外せません。抵抗できないほうが、好きでしょう?」
「何言って……っ、ていうか、何してるんだよ……こんな、夜中?か朝かは分からないけど……!」
「今は午前4時過ぎです。何を、と言われましても話をしに来ました」
平然と言ってのける俊だが、時間も行動もめちゃくちゃだ。
「話なら、別にこんな朝早くなくてもいいしこんなことしなくてもいいだろ……っ」
「ですから…………鈴葉様、今日はたまたま気づかれただけで、俺にとっては日常なんですよ、これは。まあ、わざと気づかせたんですけど、」
「っ……ぁ、、待っ…動かないって言っ─ッ」
ぐちゅ、ぐちゅ、と言葉に合わせて数回動かれる。
俊にとっては、日常……?
「今までなら、挿れるまでが限度でした。こうやって動くことができるようになったのは貴方が一人部屋になってから─バレないように睡眠薬をデザートに混ぜたんです」
しゅるり、と括られていたのを外されて彼の頬に俺の片手が添えられる。
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shiori
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