「ちょうど鈴葉様を起こす前です。生徒会室へ入ろうとしたら七恵が出てきたんです」

「…………」

「少し予想外でしたし、嫌な予感もしました。あとは、そうですね七恵の顔は面白かったです」

「……お、面白かった……?」

「ええ。アイツ馬鹿ですよ。それから鈴葉様を起こして、嫌な予感はただの予感でしたので確かめるためにカマかけようとしたんですけど、分かりやすいくらい百面相してらしたので、すみません。笑ってしまいました」

ふ、と思い出したのか俊は少し笑ってから、ゆっくり席をたつ。そしてそのまま隣に来た彼は俺の顔を覗きこんだ。

「それに、知ってます?俺、鈴葉様の弱いところ、気持ちのいいところ、全部知ってるんですよ」

「、へ……?」

「ただ、いくらアイツが手が早いとは言えこんなにも早いとは思っていませんでした。せめて新入生歓迎会後……おかげで色々と予定が狂いましたよ」

「…………」

「いずれにせよ、貴方は警戒心が無いに等しいのでこうなる前に手は打っておこうと決めていました。間に合ってよかったです。善は急げって言うじゃないですか」

後ろからぎゅっと抱きしめられる。当然食べる暇なんてなくて、それまで持ったままだったお箸を机に置いた。

「俊……?どういう意味……?いまいち…」

「本当ならもっと、俺じゃないと駄目なくらい……」

「俊、」

「ああ、すみません。今日はお身体に障りますし、ゆっくり休んでください。長くなりますし、続きは明日。おやすみなさい」

「あ…………待、……おやすみ」


一瞬、腕の力が強くなって、温もりが消えた。


間に合ったって……?



mae ato



47/143 / shiori








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