確か、仕事してて、雅也から電話がきて、そしたら七恵先輩がきて……。
あ。
「鈴葉様、」
「……せ、先輩は……?」
「はい?」
「七恵、先輩……、っ」
「………、…ふふ」
「えっ……?」
「いえ。彼なら先程出ていかれましたが」
「そ、…そう、なんだ」
ホッとした。さっきのさっきで顔は合わせられない。
ブレザーを着ながら、仮眠室に視線を向ける。あのまま放置されていたらいたで今頃死にたくなっていたかもしれないが、なんで俺はこのソファに……。
服もそうだ。ズボンとかパンツとかは脱がされていたから汚れてはないだろうけど、シャツとネクタイはたぶん─。
なのにこの綺麗なシャツ…ってネクタイないし……!
「鈴葉様」
「っ、う、うん……?」
あれから何がどうなってこうなったのか、それに気が回りすぎて思わず声が上擦った。落ち着け俺…。
「……─いえ。また夜にでも。藤崎の弁当は如何でしたか?」
「…えっ?あ、美味しかった……!お昼はその、まだ食べてないけど……」
「お口に合ったようで良かったです。なら、今食べられても大丈夫ですよ」
「ううん……今は、ちょっと」
食欲がない。
44/143 / shiori
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