「───様、……葉様、」

「…………」

「鈴葉様、…聞こ……す─か?」

ゆさゆさと体が揺れる。
起きるか起きまいかの狭間で、ぼんやりと人影が何かを訴えていた。

いったい、なんだ……?

俺はもうすこし、このまま……


「鈴葉様、」


うん……。


「ここでは風邪をひいてしまいます」


うーん……

ん?


「…………かぜ?」

「とりあえず、こちらを」

あと数秒で眠れそうなところで、変に腑に落ちず、ゆっくりと瞼をひらいた。

目に映ったのはこの学園のブレザー。どういうことだ?暫くそいつとにらめっこして、視線を動かせば俊と目が合った。ちょっとびっくり。

「……俊、」

「はい」

「これって、」

「鈴葉様のものですが」

「あ……、そう」

俺のか、なるほど。
着ろってか。

よっこいしょ…と怠い体を起こして、それを受けとる。心なしか腰が痛いような……全体的に体が重たい。

っていうか、ここ

「生徒会室……?」

起き上がって180度変わった視界。
すっごい自分の部屋だと思っていたから、理解に遅れた。ここなら俊が言っていたことも納得できる。ソファで寝てたらそりゃあ風邪ひくわ。

でも、

「………………」

こんなところで寝落ちしたっけ……??


mae ato



43/143 / shiori








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