「どうですか?お味は」

「……お、美味しいデス」

「良かったです」

俺の携帯を片手に、向かいの席で今日の晩御飯の感想を訊ねられる。今までの人生のなかでダントツこわい訊ね方だ。

「戌川に随分とご執心のようですが、」

携帯のロック機能とはなんなのか。解除したらしい彼は履歴やらなんやら見ているのかそんなことを言ってきた。なんか操作してるぞ……

「そういう、俊こそ」

「……俺は鈴葉様のために存在してますから」

「…………」


「ではこちら、お返ししておきます。あと、新入生歓迎会は例年通り鬼ごっこ、かと思いますので、あまり喜ばしいことではないですが数名親衛隊の人数を増やしておきます」

「あ、はい……」


喜ばしいことでは、ない……?


不審に思いながら、さりげなく返された携帯を確認すれば特になにも変わったようなところは無さそうだった。


…………あ、俊の名前が増えてる。


mae ato



21/143 / shiori








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