「う、んん……んー」
芳ばしいトーストの匂い、あとはなんだか甘い香りがする。
そんな匂いに誘われてむくりと俺は起き上がった。
「……おはよう、トーストと、??何つくったの、まさや」
ふああっと欠伸をしながら、キッチンにいる人物に声をかけた。なんだかいつもより広いキッチンだな。
「……戌川じゃねぇんだけど、俺」
「……?、あ、……え、?」
「おはようございます鈴葉様。寝惚けてるんですか?」
朝ごはんです。
今日は就任式ですね、なんて。
「ど、どうやって入った??」
「さあ、知りません。固くなっちゃいますから、早く食べてください」
「んぐ、」
昨日と同じように椅子に座らされて、
わりと容赦なくトーストを笑顔で突っ込まれた。なんてやつだ。
「あ、鈴葉様の意見を取り入れて、また作ってみたんです」
まあ腹は減っていたのでもぐもぐとトーストを食べながら彼の言うまた作ってみたという……クレープ、を見やる。
なるほど。もうひとつの甘い香りはこいつか。
「とりあえず一口、どうぞ」
スッと一口分フォークを持ってこられる。
トーストまだ食べ終わってないんだけどなあ。
「、いま?」
「ええ勿論です。はい、あーん」
「え、」
「突っ込みますよ」
「あーん」
「ふふ、」
さっきみたいに容赦なくされるのは流石に嫌なので正直に言うことを聞いておいた。こわい。
あっ、でも、
「……美味しい、!」
「ありがとうございます。改善点はありますか?」
「う、うーん。。もっとふわふわの生クリーム?とか、」
我ながら我儘野郎だ。
「分かりました、研究します」
「あ、ありがとう、?」
嬉しそうなのでよしとしよう。。
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shiori
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