「借り物競争ですか…!」

「うん、藤崎くんと有馬くんはリレーと障害物に決まった?」

1日目のテスト終了後、お昼を食べにカフェスペースへとやってきた。食堂にも行っているおかげか、周りからの視線はあまり気にならなくなってきている。これは進歩かもしれない。今はカズくんにも伝えた体育祭の種目を親衛隊の皆にも報告しているところだ。

「あ、いえ!僕達一般生徒はまだです…!テスト週間が終わったらクラスで決めるので、そこでどうなるか分かると思います」

「でも、絶対に走ります!俺!なので鈴葉様からの応援期待してます…!」

「佳汰くん…!鈴葉様とチームが違ったら失礼だよ…っ」

「いや全然!皆のことはチームが違っても応援するから気にしないで」

「えっ、ありがとうございま…す…」

「?」

二人の視線が俺の後ろに向けられて、慌てたように軽くお辞儀をした。俺も振り向いて確認すれば、そこには会長の親衛隊長さんが。何度か見掛けたことはあるけれど、話をしたことは1度もない。

「お話し中のところすみません。樋坂様、隆也様から伝言を預かっております」

「伝言、」

スッと距離が近づいて、内緒話をするように俺の耳元に影が落ちた。

「昼食後、温室で待っているとのことです。生徒会の事で共有事項があると仰っていました」

「わ、分かりました。ありがとうございます」

「それでは、失礼致します」

用件を伝え終わると、直ぐにその場から去っていた会長の隊長さん。学年は3年生なので先輩だけれど、去り際にしれっと俺に頭を下げていった。先輩に畏まられるのは全然慣れない。

「今の、会長のとこの人ですよね!?隊長いないし、何か言われんのかと思って超焦りました…」

「緊張しました…っ」

「あ、うん…俺もびっくりしたけど皆の事じゃないから安心して大丈夫」

「あの…隊長って、テストが終われば戻ってきますか?」

「!、…うーん、もうちょっとかかるかも……?」

俊が隊員にどう伝えているか知らない分、迂闊に謹慎しているなんて言えない。

「そ、そうなんですね…」

「何かあった?」

「いえ…!少し、気になっただけです…!」

「俺達だけじゃ、」

「佳汰くん…!」

「……なんでもないです」

突然二人のテンションが下がって、空気がめちゃくちゃ重くなった。

隊をまとめてくれている人がいない状況は俺が思っているよりも皆を不安にさせているようだ。

どうすることもできないけれど、予定より早めに解ければいいのになあ。


mae ato



140/143 / shiori








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