中間テスト初日。科目は英語と数学と古典だ。普段教室での授業が推薦されていない役員も自身のクラスで行う決まりになっている。久しぶり処か学年が上がってから初めて教室に訪れたのだけれど、みんな以前と変わらず普通に接してくれてホッとした。ここだけの話、ちょっと緊張していたのだ。

「俺の席って存在してたんだ」

「…当たり前だろう」

勿論同じクラスの雅也もいて、俺の小さな感動にツッコミが返ってくる。

「おーす!すずちゃん…!元気だったか?」

「カズくん…!久しぶり!元気だよ」

駆け足で教室に入ってきた彼はサッカー部のエース、須藤一樹(すどうかずき)くんだ。この学園における貴重な存在─雅也の用語で言うならノンケ仲間の1人でもある。俺が怪しくなってきつつあるけれど。

「そりゃよかったぜ!テスト頑張ろううな〜」

「うん」

「てかさ、体育祭どうすんのか決めてるか?」

「あー…種目って去年と変わらない?」

「おう!2年専用の必須種目はバケツリレーだ。去年の個人はパン食い出てたよな?同じなら埋めとくけど」

「いや!パン食いはやめとく…!」

「?、わかった。ま、すずちゃんのは優先するからさ!決まったら教えてくれな」

「ありがとう…。でも、いいの?」

「ん?役員はそういう決まり!」

「えっ、そうなんだ」

「そ!」

こんなところにも役員贔屓があるのか。そして彼の話しぶりからするに、今年も体育祭の実行委員を担当しているのだろう。

「雅也はもう何出るか考えてんの?去年と一緒?」

「ああ、リレー1択だ」

「そっか。俺どうしよかな」

「助言しておくが、役員は放送委員からの実況がマストだ。それを見越して考えた方がいい。お前が想像している以上に何もかもマイクで報告されるぞ」

「まじかよ……」

そんなの、食堂よりキツイかもしれない。

「俺のお薦めは借り物競争だ」

「え、なんで?」

「借りる物があるお陰で、競争者全員実況される」

「なるほど…!?」

流石雅也さん。俺の懸念している部分を的確にアドバイスしてくれた。今日のテストが終わったら、カズくんに借り物競争でお願いしに行こう。


mae ato



139/143 / shiori








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