「テスト勉強はいいのか」
翌朝、朝御飯をご馳走になったあともう少し居座ろうとソファーで怠けていたら、紙袋を持った雅也が隣に座ってきた。
「んーー大丈夫。夜寝る前に復習はするし」
「相変わらず余裕だな」
「コツコツやってるだけだって…てか、それ何?」
「ディルド」
「…………うん?!」
「射精機能とバイブ機能付きだ。それっぽいローションと普通のジェルも入れておいた」
「…………は、」
「安心しろ新品だぞ」
真顔で淡々と袋の中身を説明していくこの男。そういうことが聞きたいわけじゃない。気恥ずかしいから昨日のことは敢えて避けていたのに、遠慮なくとんでもない物をぶつけてきた。
「……いや、あの……な、なんでそんなの持ってんの……?」
「気にするな」
「気にするけど!?」
「使うなら部屋だけにしろよ。風紀に没収されるからな」
めちゃくちゃスルーされた。
ぶっちゃけ昨日のせいで雅也のことがよく分からない人になってしまっている。
そもそも、見る専とか言ってたのに全然いけてたし(むしろ手慣れていた)、目隠しはするしこんなのは持ってるし何?
1年間同室で同じクラスで仲は良いつもりだったけれど、初めて知る事ばかりが舞い込んできて困惑する。ちゃっかりヤッてしまった俺も何なんだほんと。その場の本能で生きるな。
「鈴葉?」
「!、う、うん?」
「俺は勉強で部屋に籠るから、帰るときは気をつけろよ」
「あ、はい、」
「また何かあったら連絡してくれ」
そう机に紙袋を置いて自室へと去ってしまった雅也さん。
ディルドなんか女の子に使ったこともなければ実物を見たこともない。っていうか俺が持って帰る前提なのもおかしいだろ!
「…………」
(まあ…、、)
毎回あんなことを人にお願いする訳にもいかないし、しれっとヤッちゃう確率も減るし、自分で解決できる方がメンタル的にも平和だから持って帰る方がいいっちゃいい。
けど、
(これを使ってしまったらマジでなんかもう婿にいけなくなる気がする…っ!)
それに、俊に隠し通せる気がしない。部屋のどこに隠し置いても見つかりそう。だからって部屋以外で使う勇気なんて1ミリもないし風紀も絶対にごめんだ。持って帰らずに次またひとりでうまくイけなかったときもそれはそれで地獄。
「…………一旦、、」
持って帰るだけ……持って帰って……
あとから考えようか、、な?
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shiori
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