「お待たせしました…」
「あ、ミルクティーでよかったよね」
「は、はい。ありがとうございます」
慌てて制服を着たあと、仮眠室から出れば副会長さんが紅茶とお菓子を準備していた。
まさか起きたら目の前に居るとは。一瞬心臓が止まった気がする…。
「ここ、ハネてるよ」
「え、」
ぱち、と音がして何かを頭に付けられた。
「ピンで止めておけばそのうち戻るんじゃないかな」
「、ありがとうございます」
どうやら寝癖がついていたみたいで、整えてくれたっぽい。鏡ちゃんと見ておけばよかった。
「今更なんだけど、僕の連絡先登録しておいてくれる?」
「!、はい」
何だかんだお茶会久しぶりだなぁと紅茶を一口飲んだところで先輩の携帯画面が机の上に。今まで聞いていなかった俺も俺だが、ついに交換することになるのか…。
(俺の快適なランチタイム、さよならかも)
これはもう圧から逃げきれない。
いや、別にあからさまに逃げてたわけではないけれど。
「龍也と蓮のも送っておくから、そっちもよろしく」
「ありがとうございます、」
「それと、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いい?」
「……?、何ですか?」
「歓迎会のデートのことで何か藤崎君から聞いてる?」
「へ……」
藤崎くん??
予想外の名前にお菓子を開けようとした手が止まった。
「い、いえ…まだなにも」
あれからマカロンのお礼は言ったが、クッキーファクトリーについては話せていない。挨拶程度にすれ違ったりはするものの隊員の皆とは歓迎会前にお昼を一緒にして以来、ちゃんと話す機会も何もないのだ。
「まだ─ってことは聞く予定がある?」
「そう…ですね。いつになるかは明確じゃないんですけど。何かありましたか…?」
まさか七恵先輩、何かしたのか!?
(いや、でも藤崎くん普通だったよな…)
「ちょっとね……。あ、彼が何か問題があったとかじゃないよ。まあもし直近で何か聞いたら教えてほしい」
「分かりました、」
「うん。それじゃあ、残ってる作業は僕も手伝うから終わったら一緒に食堂行こうね」
キラキラの笑顔で手には俺への食堂票が1枚ピックアップされていた。
─これ以上集計する必要も無くなったな…。
デザート券、使うかあ。
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shiori
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