「やっぱり……無理」
一人部屋無理。
あれから雅也ともう少し話をしてついにこれから俺の部屋となる場所に来たわけだが、
「広すぎ……」
例えるなら高層マンションの一番上─のような。
役員優遇されすぎやしません?
家の自分の部屋より広い。
なんといっても一人ということは、
「もう雅也にご飯つくってもらえないし」
「それなら、俺が作ります」
「うわ!?!?!?」
突然すらっと隣に現れた青年。
まさか独り言に返事が返ってくるとは思わなくて、大袈裟に肩が跳ねあがった。
っていうか?ここ、部屋の中だし、オートロックだったよな?
「だ、、誰……ですか」
「ああ……すみません。。本日から鈴葉様の親衛隊隊長をさせていただきます、甲斐凪俊(かいなぎしゅん)と申します。昨年は陰から見守らせていただいたのですが、これからはお側で見守らせていただけるということで、お祝いの印にこのクレープを持ってきたのですが……。生クリームと、カスタードがお好きと言っていましたので、お口に合うかは分かりませんがどうぞ召し上がってください。今、お皿とフォークを用意しますので」
「…………う、……うん」
ふわりと微笑まれて、その流れのまま椅子に座らされたわけだが、なんだ、どういうことだ。こういうことには疑問を抱くほうがおかしいのかそうなのか。
これまでに教えられた風習だっておかしなものだったわけであるし。
ただ、俺っていつ生クリームとカスタードが好きだって言ったんだろう……?この人に。
やっぱ、おかしいよな……?
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shiori
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