「いいか、中間テスト、体育祭、期末テスト…これを乗り越えれば夏休み。この意味がわかるか、」

「休みだーって感じ?」

「……違うな。未来のお前の彼氏との─」

「あーわかったわかった、すっごいわかったー」

「おいちゃんと聞け」

「聞いた聞いた。数学のテスト範囲ってここまで?」

「ああ」

「ありがとう」

雅也お得意の妄想は適当に流して、もうすぐ始まる中間テストの範囲を教えてもらっている。

別に教えてもらわなくても後から知ることができるのだが(役員は専用端末で授業内容が後から送られてくるため)早めに知っておきたい俺はこうして聞きに来ているのだ。

「そういや体育祭ってSクラスから出れるよな?」

「そうだな、特に役員の特権はない。仕事があるとしても開閉の言葉とかじゃないか?文化祭も同様。役員席はあるが」

「え、席は離れるの?」

「あたりまえだ。会長がクラス席に座ったらどうなると思う」

「………確かに」

普段離れていてあの歓声なのだから、隣に座ったらそれはもう大変な事になりそうだ…。

「……うわ、理科の範囲広くない?」

「安心しろ、古典のほうが広いぞ」

「……何の安心にもならないって」


去年の中間はもっと少なかったはず。1年だったからかなあ…

「もう19時前だが、晩飯は?甲斐凪がそろそろ来るんじゃないのか」

「…ううん、、テスト前の補習が続くみたいで。小テストの勉強とかでも忙しそうだから流石に断ってる」

「補習?、そんな頭悪くないだろ」

「現代文が苦手らしくて、教えれるかなと思って一回見せてもらったんだけど、俺にはどうにもできそうじゃなかったんだ…」

「お前が折れるってどんな回答してたんだアイツは」

「…ちょっと世界観がすごいっていうか、、」

読解問題で作家や評論家に持論で喧嘩を吹っかけるような回答だった。そういうことじゃないのは先生も言ってるだろうから、俺にはもう説明できない。

「…そうか、なら最近はどうしてるんだ?食堂には来てないだろ」

「こ、購買…」

「……甘いものばっか食べてないだろうな」

「…………」

「用意するから食べていけ」

「う、……ありがとうございます……」

「なんなら落ち着くまで晩飯は食べに来い」

「…はい」



助かります、雅也様…



mae ato



122/143 / shiori








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