だけどそれはわたしじゃない
そんなこと、解っていた
「たーいきくん、あっそびーましょー」
「断る」
幼い日々の様にはやはり行かなかった。吁悲しきは時の流れとでも云うのだろうか。
私はそこそこにバスケも上手な方だと思ってる、だから大輝に挑戦して勝ちたい。
「もう、大ちゃん こんな処でまたサボって、」
現れたのは、桃色の髪をした 可愛い可愛い女の子。でも可愛さの中にも何処か大人びた印象が有って
思わずガン見して仕舞った。
何事だろうと首を傾げられれば慌てて頭を下げて挨拶をした。
「ほら、大輝くん バスケ部いかなきゃ、」
彼女はきっと、私が望んでいた席に高々として腰を掛けて居るのだろう。
私が望んだ席。
彼のとなりで、ずっと彼を見守る事。
それだけ、なのに。
「ほら、可愛い女の子のマネージャーもいて 何が不満なのよ」
「うっせ、だまれ」
そんな私と彼のやりとりをくすくすと微笑み乍彼女は見守っていた。
「あーもーわーったよ、行けばいいんだろ!」
「逝ってらっしゃい、」
「俺は未だ死なねえよ、阿保」
片手を大きく振って彼を見送れば、彼女の様な席に私が座る事を はたして大輝は望んでいるのだろう
かと、不意に感じた。
だけどそれはわたしじゃない
( 悲しさがどろりと溶けて、あわよくば彼を濡らして仕舞わないかと、 )
桃井ちゃんは可愛いです。
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