※ツナが来る前の未来編。暗い。





 リボーンが死んだ。

 あのめちゃくちゃマイペースで信じられないくらい強いアルコバレーノである彼が死んだという知らせが妙に嘘臭くて、俺はその事実を受け入れられないでいた。
 自分でもまだ冗談じゃないかと疑っていると言うのに、今俺はその事実を彼の愛人へと告げている。
 俺に背を向けて話を聞いている毒蠍は、もしかしたら泣いているのかもしれない。ぴくりとも動かずに突っ立っているその背中はいつもより、小さくてか細く見えた。
 愛の為に生き愛の為に進んできた彼女は、愛する者を喪いこれから何処に行くのだろうか。

「ビアンキ」

 名前を呼べば彼女は意外にもすぐ振り返った。涙を流してはいない。けれど、感情の無いその顔を見て俺は続ける言葉が浮かばなかった。いや、俺が掛けられる言葉なんてないのかもしれない。
 結局俺は成長したのはナリばかりで、毒蠍との関係は何一つ変わっちゃいないのだ。 彼女を支える事は出来ないし、慰めた所できっと彼女の頭には入らない。それは本来リボーンの役目であり、俺はリボーンに代わる事は出来ないのだ。

 いつもは恐ろしい毒蠍だが、リボーンの傍にいると途端に大人しくなる所が可愛くて好きだった。リボーンを見つめる、信じられないくらい優しい瞳が好きだった。リボーンの傍にいる彼女はいつでも可愛くて幸せそうで、二人が一緒にいるのを見るのが本当に本当に大好きだったのに。

 もう彼女がその瞳にあいつを映す事はないのだと思うと、息も出来ないくらい苦しくなった。

この気持ちは恋だったのかもしれない



(2011.05.30)


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -