オリジナル | ナノ
恋人の徹也(てつや)は二人きりになるとすぐに潮(うしお)にちょっかいをかけてくる。それを潮も拒まずに(なんせ二人ともヤりたい盛りの男子高校生である)受け入れてきたのだが、今日ばかりはそれを許すわけにはいかなかった。
「うーしお」
いつもの調子で頬に軽くキスをされて、セックスしようの合図。
「今日はしないから」
背を向けて、なるべくそっけなく告げたのに。徹也は潮を後ろから抱き締めて、耳に息を吹き掛けてくる。
「なんで? しようよ」
ぎゅうっと力強く抱き締められるとそれだけで尻の奥がむずむずして、いつもみたいに抱かれたくてたまらなくなってしまう。
いつもみたいに。とろとろになって、徹也と一つになりたい。
でも、ダメなのだ。
今日はどうしてもするわけにはいかない。それなのに、座ってる徹也の上に乗せられて。後ろから回された手がお腹の上でシートベルトみたいになって。ぎゅうぎゅうっと抱き締められると尻の間に徹也のペニスが押し付けられる。
ズボン越しなのにその熱を思い出して尻の穴がキュンキュンしてしまう。
いつもみたいにぐずぐずにとろけたそこに徹也のものを突っ込んで欲しくてたまらなくなるのだけど、今日はそういうわけにはいかない。いや、そこだけならまだなんとかなるのだが、もう少し上に手がのびたらおしまいだ。
さりげなく胸元を庇いながら、徹也に訴える。
「今日は体調が悪いから、無理」
「さっき走り回ってなかったっけ」
「……急に悪くなったの」
「ふーん」
ふーんってなんだ。恋人が体調悪いって言ってるのに。まあ、仮病だけど。
「元気そうだけど……わかった、じゃあ、最後まではしない」
ヤバい。
選択肢を誤った気がする。
最後まですることではなく、その途中にあるものが問題だったというのに。
徹也の手がTシャツの隙間から入り込もうとして、慌ててはたき落とす。だがそうすると庇っていた胸元が手薄になってしまう。
その隙に、Tシャツの上から胸全体を軽く揉まれる。
「あっ💓」
揉まれた拍子に乳首の先端がTシャツの生地に擦れる。それだけの刺激で変な声が漏れてしまう。
徹也は乳首が好きだ。潮も最初はまさかそこがそんなに気持ちよくなるなんて夢にも思っていなかったのだけど、毎回そこを弄られているうちに、乳首だけでイケるようになってしまっていた。もう色々と戻れない。
服が擦れたくらいで気持ちよくなってしまうのに、徹也は服の上から的確に乳首を摘まむ。
「やぁっ💓」
きゅっと両の乳首を摘ままれるともうダメだ。徹也の膝の上から逃げ出したくても腰が抜けて動けない。
乳首が痛いくらいに勃起してしまう。ペニスも。
下着が先走りで濡れるのがわかる。
そして乳首の先から何かが漏れる感覚。
「あっ💓やだっ💓」
グレーのTシャツだったのが最悪だった。
胸元を見下ろすと、Tシャツごしに勃起した乳首が丸わかりで。それ以上にまずいのが、乳首の回りだけ浮き出るように、グレーが色濃くなっていることだった。
そこが『何か』で濡れていることは明白だ。
どうしよう、このままじゃバレてしまう……。
まさか、乳首からミルクが出るようになったなんて知られたら……。
「てつ、や。キスしよ」
後ろを向いて、キスをねだる。するとすぐに唇が触れた。
「んっ💓」
入り込んできた徹也の舌を迎え入れながら、なんとか徹也の意識が乳首からキスに移るように祈る。
だけど、いつもより大胆に舌を絡ませたり、甘く噛んでみたりしていたら、夢中になったのは潮の方だった。
「んぅ💓……んんっ💓」
お返しとばかりに、徹也の口内に招かれて。舌をちゅっと吸われて。とろけたところで噛まれる。
このまま舌から食べられてしまうんじゃないかと思う。
そうやってキスに夢中になっていた潮だったが、ふと、奇妙な感覚に気づく。
「ぁっ💓んんんっ💓」
徹也が舌をちゅっと吸う時、今は触れられていないはずの乳首がうずく。
……触れられていないはずなのに、先端からとろりと何かが溢れ出す感覚。
「潮?」
ついにその変化に気付いたのか、徹也が戸惑ったように潮を呼ぶ。
……バレた。
絶対にバレたくなかったのに。
「……お前の、せいだろ」
先ほどまでの甘い空気は吹き飛び、潮の目は涙で潤む。
「お前が、ちくびばっか、いじるからっ」
みっともなく、しゃくりあげながら、徹也を責める。
「おれ、びょうきかも…………てつやの、ばかっ」
涙をぽろぽろこぼしながら、やっとのことで訴える。
徹也はびっくりしていたけど、涙を流す潮の頭をそっと撫でてくれる。
「ごめん、潮」
頭を撫でながら、うなじに優しくキスをされる。
そんなことくらいで安心できるわけがないのに、どういうわけか、一人で抱え込んでいた時よりずっと気が楽になる。
「てつやのあほぉ」
うなじから頬に。頬から額に。額から唇に。優しく触れるだけの、慈しむようなキスは、潮の不安をどんどん取り去っていく。
状況は何一つ変わってないのに。徹也が受け入れてくれるなら、それで大丈夫だと思えた。
膝にのせられたまま、徹也と向かい合うように座らされる。
濡れたTシャツをじっと見つめられた。
「潮、見せて?」
言われるままに、Tシャツを捲り上げる。
あらわになった乳首は、痛々しいほど赤く染まり、勃起していた。その先端がうっすらと白い何かで濡れている。
「かわいい」
うやうやしく、徹也の唇がそこに触れる。
「――あんっ💓」
乳首を唇に見立てて、バードキスでもするように。ちゅっちゅっと優しく触れてくる。
すっかり敏感になっているそこは、触れられるだけで痛みと快感が混ざり合う。
「やだっ、てつやぁ……っ💓」
唇がそこに触れる度に、じわりじわりと何かが滲み出すのがわかる。
徹也が唇についた、白い液体をペロリと舐める。それが雄を思わせる仕草なものだから、ゾクリとしてしまう。
「潮、舐めてもいい?」
問われ、拒絶の意を込めて首を振るが、今度は乳首に生暖かいものが触れる。舌の先端が優しく、撫でるように触れる。それだけで体に電流が走る。
「ひぁっ💓💓💓」
徹也の上から逃げようにも、強く抱き締められて動けない。じわりと溢れ出すそれを、徹也の舌がぬぐっていく。
そんな得体の知れないものを口に含んだら、ダメなのに。ぬぐわれたそばから溢れ出すそれを、ずっとペロペロと舐めとられる。
「あっ💓だめぇっ💓」
舐められてない方の乳首からもとろとろと白い液体がこぼれ落ちる。きゅっきゅと摘まむように刺激されると白いそれが徹也の指を汚した。
「潮のこれさあ」
「んんっ💓」
「気持ちよくなると出ちゃうんじゃない?」
「わかんな……あっあっ💓なめちゃ、だめっ💓💓」
舐められたそばから溢れてくるものだから、キリがない。とろとろと溢れ出したそれに、ずっと射精しているような錯覚をしてしまう。
「ひっ……吸っちゃだめぇっ💓」
舐めとるだけでは足りないのか、ちゅぱちゅぱと突起を吸われる。それが気持ちよくて、ダメなのに、突き放さないといけないのに、徹也の頭をぎゅっと抱き締めてしまう。
「あっ💓あっ💓」
じゅるじゅると恥ずかしい音を立てて吸われて、羞恥から目をそらす。
「んっ……ミルクみたいで美味しい」
なんて、おかしなことを言われる。
そうしてまた、ちゅっと吸われると溢れ出して。それを飲み込まれるとたしかに授乳しているような気分になる。
こんなえっちな授乳があってたまるか、とも思うが。
「潮、もっと飲ませて?」
「やぁっ💓」
ちゅっちゅっと先程までよりずっと強く吸われて。今度は指で弄られているだけだった方を、吸われる。
もしかしたら本当にミルクなのかもしれないそれが徹也の喉をごくごくと通っていくのが聞こえて、恥ずかしいのにどこか満たされた気持ちになる。
「潮、俺、ちゃんと責任とるよ」
「あっ💓吸いながら、しゃべんないでっ💓」
「責任とって、潮のミルク、毎日飲むから」
「だめぇっ💓イッちゃうからぁっ💓💓💓」
「いいよ、イッて」
強く強く吸われて、もう片方の乳首も力強く摘ままれる。射精するみたいな勢いで出たミルクが、徹也にかかる。
「あっ💓イッてるのにっ💓💓吸っちゃだめっ💓💓💓」
下着が精液で濡れて気持ち悪いが、それ以上に、潮の胸から飛んだミルクが徹也を汚してしまったことで居たたまれなくなる。
それなのに徹也はといえば、潮のミルクを浴びたまま、平気な顔で胸に吸い付いている。
「だめっ💓💓だめぇえええっ💓」
イッたばかりなのに。また何かが出そうになる。力の入らない両手で、徹也を引き剥がそうとするけど、もちろんやめるはずもなく。
「やっ💓でちゃうっ💓」
快感をやりすごすこともできず、込み上げてくる何かに抗うこともできず。精液ではないものが、ズボンを濡らした。
「……やだって、いったのに……」
精液どころの話ではない。ズボンもパンツもぐっしょりと濡れて、肌に張り付く。小さい頃にはよくあった懐かしい感覚を、この歳になって味わうことになるとは思わなかった。
涙の滲む目を擦りながら、今日はいろんなところがゆるいのかもしれないと思った。
乳首とか、ペニスとか。それから涙腺も。
「ごめん。潮が可愛くて、つい」
ぐすぐすと鼻をすすりながら泣く潮の頭を撫でながら、徹也が謝罪してくる。
「それにこれ、おしっこじゃないよ」
確かに、よくよく考えると特有のアンモニア臭がない。少しほっとしたが、だからといって喜べない。
「潮がえっちで可愛くて、嬉しい」
俺は全然嬉しくないけど。まあ、徹也の嬉しそうな顔を見るのは嫌いじゃないから、いいか。
「下、脱ごっか」
「ん……」
冷たくなったそれを下ろす。そういえば徹也の上に乗っていたのだから、当然徹也の服も濡れている。恥ずかしい。
二人とも生まれたままの姿になって、汚れた床に汚れた服を脱ぎ捨てたまま、ベッドに押し倒される。見上げた徹也の顔がかっこよくて、お尻がキュンとしてしまう。
「潮、えっちなこと考えた?」
「……考えてない」
「ミルク、滲んでるよ?」
「……っ!」
見下ろすと、確かに潮の二つの乳首からは白いミルクが溢れていた。えっちなことを想像しただけで、出てしまうものらしい。
「潮の乳首は正直だね」
「あんっ💓」
えらいえらいと撫でられると、甘い声が漏れてしまう。
「お尻も弄ったらどうなっちゃうかな」
「むりぃ💓」
考えただけで、ミルクが出ちゃう。
「ん💓」
待ち望んでいた刺激がようやくお尻にやってきて、期待からまたミルクがこぼれる。ローションで塗れた指が潮の中をゆっくりゆっくり慣らしていくのが気持ちよくて、変になりそうだった。
「あっ💓」
徹也の指が前立腺をなぞるとペニスと乳首から同時に違うものが滴り落ちる。
「あっ💓そこばっか💓だめえ💓💓」
弱いところばかり責められて、気持ちよくてとろとろになって。滴り落ちるミルクをぺろりと舐められる。
「ああっ💓ちくびもいっしょにしちゃ、だめっ💓💓」
「だってもったいないし」
「ん💓あっ💓」
ずっと責められて敏感になりすぎた乳首を舐められると辛いのに、前立腺を弄られると先端からミルクが溢れるのを止められない。
「やんっ💓」
ぐちゃぐちゃとローションのおかげで体の中を暴かれていく。はやく指じゃなくてもっと太いもので貫かれたくて、期待したそこが徹也の指を強く締め付ける。
「あっ💓」
指を増やされて、圧迫感が増す。中でバラバラに動かされて。気持ちいいのに、まだ物足りない。
「もっ………いれて」
ねだるように手を引いて、徹也のペニスをそこにあてがう。
「いいよ、潮」
「……ぁあああっ💓💓💓」
待ち望んでいたものがようやく入ってくる。
奥まで挿入しきると、お腹の中が満たされて、幸せな気持ちになる。
「あ💓あっ💓ふかいっ💓💓」
深いところを徹也のペニスが突くと、潮の体は喜びに震えてしまう。
「んんんっ💓💓💓」
深いところを突かれる度に、チカチカと星が見えるような気がした。
とんとんと奥を突かれる度に、乳首からはミルクが、ペニスからは精液が溢れる。乳首はもう舐められなくなったのだけれど、勃起はおさまらない。ただぎゅっと摘ままれている時のような感覚だけが残り、はしたなくミルクをこぼし続ける。
「潮、潮、」
名前を呼ばれて、最奥を突かれて。
「あっ💓てつやぁっ💓💓💓」
「気持ちいい?」
「きもちいっ💓💓💓おく、とんとんして💓💓ミルクでちゃう💓💓」
「すごい。ミルクでびちゃびちゃだね」
「あっ💓💓」
胸から、ペニスから、溢れた白いものが。自身だけでなく徹也の体やベッドを汚していく。
ミルクを出すのも、奥を突かれるのも気持ちよくてたまらなくて。何も考えられずにドロドロになっていく。
「あっ💓てつや💓💓イッちゃう💓」
「いいよ、俺も」
「あっあっ💓💓だめっ💓」
潮の弱いところ徹也のペニスが突いて、同時に乳首を痛いくらいつねられる。
「――ひんっ💓💓💓」
潮は中のペニスを強く締め付けながら達した。体の奥に熱いものをかけられた感覚に、満たされた気持ちになる。
「あ。ミルク出なくなった」
「ほんとだ」
せっかく毎日飲もうと思ったのに、と残念そうな徹也の頭を、力なく小突いた。
おわり?
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