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 汚れたテーブルや床は鶴見に掃除させた。鶴見のせいでまだ日も高いのにベッドで休む羽目になっているのだから当然だ。
 掃除を終えて透の前にやってきた鶴見は、どういうわけか楽しそうだった。

「……さっさと出てけ」
「えー。僕今日は氷川と仲良くしに来たんだけど」

 仲良く、というのはてっきりセックスを指すのだと思っていたが、どうやらそれだけではなかったらしい。

「俺はお前と仲良くする気はない」
「えー」
「だいたいどうして昔から俺に構うんだ……」
「だって僕氷川のこと高校時代からずっと愛してるし」
「あい…………?」


 愛してる?
 高校時代から?

 思ってもみなかった言葉に動揺する。


「氷川の嫌がる顔が好きだったけど、うちの焔がお宅のブラックナイトと付き合い始めたでしょ? 羨ましくなってきてさあ。だから氷川に惚れ薬作ろうと思ったんだけど、媚薬ができちゃったし。なかなかうまくいかないね」

 いや、惚れ薬を盛ろうとするな。

「惚れ薬でもないと氷川は僕のこと好きになってくれないだろ?」

 鶴見にしては珍しく、消極的な物言いに、
 そんなことない、と。
 少しだけ。ほんの少しだけ、言ってやりたくなった。

 もちろん言ってやらないのだが。







「氷川、新しい武器なんだけどさー」
 社長室のドアがノックもなしに開かれる。と、白衣姿の男がニコニコと笑いながら入ってくる。
 いったいどうしてこんなことになってしまったのか。透は眉間の皺を深くした。

 氷川透の夢は世界征服だ。これは幼い頃からの夢で、最近では組織を作り出すまでになっていた。表向きは普通の会社のようになっているが、中では部下たちが訓練を行えるようになっている。
 そんなエタニティに、どういうわけか、正義の味方側の人間が入り込んでいた。

「だって僕がフレイムだけの味方をしてたら氷川一生勝てないでしょ?」
「消えろ」

 この男が透を馬鹿にしているのは昔からだ。
 平等になるようにエタニティの武器も開発するだとか言い出して、つい最近、エタニティに出入りするようになった。

「氷川の邪魔もしたいけど、氷川の応援もしたいんだよねー」

 やっぱり鶴見のことは絶対好きにならないな、と透は思った。



  


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