ダメダメ戦隊 | ナノ
第9話 学園物じゃあるまいし-2‐
何も知らない人間は彼らの関係をどう思うだろうか。
クラスメイト? 親友? 幼馴染?
そのどれもが正解であり、不正解である。
たとえばクラスメイトであるのは玄也と橙悟である。
その隣のクラスに士郎と灰那と紫杏がいる。
幼馴染なのは士郎と玄也。元々友人だったのが紫杏と灰那。
一見バラバラで、微妙な繋がりを持つ5人であるが、彼らが昼休みや放課後を一緒に過ごすようになったのはそう昔のことではない。
さて、彼ら5人の関係は「友達」という言葉では表せない。そう、彼らは「仲間」だった。
彼らのチーム名は反(アンチ)エコ戦隊トラッシェンジャー。言いにくいのがたまにキズで、だいたいの場合は「アンチ」と言われている。
戦隊、と名乗りつつも彼らは自称悪役である。思いつく限りの悪事を働くことをモットーとしている。
「……みんな、今日は反省会をするぞ」
玄也が口を開く。
一応彼はアンチのリーダーである。
「ああ、この間の」
「僕は反省することないんだけど? 負けたのは浜谷と金子だけでしょ。ああ、榊もだっけ」
「べ、別に俺は負けたわけじゃないぞ!あれは引き分けだ!とにかく、次はやつらをボコボコにする……」
そんな不穏な決意を胸に、玄也は手に持っていたおにぎりを握りしめる。
当然、無残にも潰れたそれの中からは具がはみ出していた。……どうやら今日の具は鮭らしい。
「食べ物で遊ぶな」
士郎が玄也の頭を殴る。
「……うわっ…いつの間にか俺のおにぎりがこんなにつぶれてる!?」
「いや、やってる間に気づくでしょ。普通」
「……まあ、次は勝てばいいんじゃないかな?」
橙悟が呟く。
たしかにそうだ。一度負けたくらいでくよくよするなんて彼ららしくない。
……いや、負けたわけではない。
「そうね、次は別のゲームで……ううん、やっぱり遊○王の方がいいかしら」
「灰那……あたしもうやらないからね」
「次こそは決着をつける。絶対に倒すぞ……悪役として負けるわけにはいかん!」
「…………」
士郎は黙って『果たし状』と書かれた紙を玄也に渡した。
はたして、この果たし状がいつ使われるのか……
そして、彼らの出番はまたあるのだろうか……
「え?あたしたちレギュラーじゃないの!?」
「大丈夫よ、紫杏。今から作者を買収に行きましょう」
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