ブログ | ナノ


シオライは続く(伝勇伝・シオライ)
2020/05/21 02:28


ライナが生徒会に誘われたという噂はまたたく間に広まった。クラスメイトたちが興味津々だったせいもあるだろうけど、生徒会長が積極的に噂を広めているのではないかとも思われた。
おかげで会長信者から「お前なんて会長に相応しくない」とかなんとかお呼び出しをされるまでになった。
ノリは生徒会長親衛隊、みたいな感じではあるけど見た目は普通の男子高校生だったりしていて、ちょっと惜しい。


「せっかくならチワワにキャンキャンされたかった……」

そう、ライナとてわかっているのだ。
会長様は美人。となれば取り巻きたちが攻めっぽいのから受けっぽいのまでいて当然なのである。というか会長受けとか美味しいし。
そもそも共学なのに男子にキャンキャン言われただけで奇跡か。女子にも絡まれた気はするが萌えなかったので覚えていない。仕方がないのでなんとなく思い出してチワワに変換しておく。健気チワワ萌え。



……と、まあ、現実逃避はそろそろ終わりにしよう。




「会長様はどうしてこんなところにお重を広げているんで?」
移動教室後の昼休み。
教室に戻るとそこには会長様がいた。

……ライナの机にお重を広げながら。

「やだなあライナ。親友が一緒に食事するのに理由なんていらないだろ?」
「しん、ゆう?」

親友。それは男同士で使うと急にホモ臭さマックスになる甘美な言葉。
……じゃなくて昨日が初対面だった人間に使われたくない言葉。

隣の席ではキファが一生懸命にやけ顔をこらえている。ずるい。俺もそっち側になりたかった。


「悪いけど俺ら学食行くから」

俺ら、のところでキファを見る。フェリスはまだ来ていないがメールでも入れておけばくるだろう。

そこで、ライナは気づいてしまった。お重に入っただんごの存在に。


「大丈夫、フェリスさんはもうそろそろ来るし、このお弁当は4人分なんだ」







「なにが大丈夫なのかわかんないしなんで4人分の弁当用意してんのかもわかんないし」
「シオンはなかなかだんごを見る目がある」
「たしかにあのおだんご美味しかったね。まさか私達も一緒に食べることになるとは思わなかったけど」

わけのわからない昼休みを過ごし、今は放課後。
いつものように『だんご部』の3人で集まっていた。

「でもアスタールくんってどこでライナを知ったんだろうね」
「知るか。昨日初めて会ったし」 

たしかにそれがわからなかった。
昨日が初対面で、今日には何故か親友扱いしてきたあの男が、いったいいつこんな平凡なライナに目をつけたというのか。

「まあライナ目立つし」
「は?」
「だいたい寝てるから」
「…………」
「貴様のことだ、夜な夜な女子生徒から女教師にまで手を出してるところ、目をつけられたのだろう」
「手を出してねーよ!?」


自分にはこの小さな世界が十分楽しいから、これ以上おかしなことにならなければいいなあなんて。
この時はまだそう思っていた。

前へ1 / 1 ページ次へ
とち みちら
ライナが生徒会に誘われたという噂はまたたく間に広まった。クラスメイトたちが興味津々だったせいもあるだろうけど、生徒会長が積極的に噂を広めているのではないかとも思われた。
おかげで会長信者から「お前なんて会長に相応しくない」とかなんとかお呼び出しをされるまでになった。
ノリは生徒会長親衛隊、みたいな感じではあるけど見た目は普通の男子高校生だったりしていて、ちょっと惜しい。


「せっかくならチワワにキャンキャンされたかった……」

そう、ライナとてわかっているのだ。
会長様は美人。となれば取り巻きたちが攻めっぽいのから受けっぽいのまでいて当然なのである。というか会長受けとか美味しいし。
そもそも共学なのに男子にキャンキャン言われただけで奇跡か。女子にも絡まれた気はするが萌えなかったので覚えていない。仕方がないのでなんとなく思い出してチワワに変換しておく。健気チワワ萌え。



……と、まあ、現実逃避はそろそろ終わりにしよう。




「会長様はどうしてこんなところにお重を広げているんで?」
移動教室後の昼休み。
教室に戻るとそこには会長様がいた。

……ライナの机にお重を広げながら。

「やだなあライナ。親友が一緒に食事するのに理由なんていらないだろ?」
「しん、ゆう?」

親友。それは男同士で使うと急にホモ臭さマックスになる甘美な言葉。
……じゃなくて昨日が初対面だった人間に使われたくない言葉。

隣の席ではキファが一生懸命にやけ顔をこらえている。ずるい。俺もそっち側になりたかった。


「悪いけど俺ら学食行くから」

俺ら、のところでキファを見る。フェリスはまだ来ていないがメールでも入れておけばくるだろう。

そこで、ライナは気づいてしまった。お重に入っただんごの存在に。


「大丈夫、フェリスさんはもうそろそろ来るし、このお弁当は4人分なんだ」







「なにが大丈夫なのかわかんないしなんで4人分の弁当用意してんのかもわかんないし」
「シオンはなかなかだんごを見る目がある」
「たしかにあのおだんご美味しかったね。まさか私達も一緒に食べることになるとは思わなかったけど」

わけのわからない昼休みを過ごし、今は放課後。
いつものように『だんご部』の3人で集まっていた。

「でもアスタールくんってどこでライナを知ったんだろうね」
「知るか。昨日初めて会ったし」 

たしかにそれがわからなかった。
昨日が初対面で、今日には何故か親友扱いしてきたあの男が、いったいいつこんな平凡なライナに目をつけたというのか。

「まあライナ目立つし」
「は?」
「だいたい寝てるから」
「…………」
「貴様のことだ、夜な夜な女子生徒から女教師にまで手を出してるところ、目をつけられたのだろう」
「手を出してねーよ!?」


自分にはこの小さな世界が十分楽しいから、これ以上おかしなことにならなければいいなあなんて。
この時はまだそう思っていた。





prev | next


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -