▼1.再会
「testa di cazzo!!」
ふと気付くと、数人の男たちが彼女を取り囲んでいた。
そうか、彼らに追われてここまでやってきたのか…っ
「ジャン!」
エマが逃げ出そうと、僕の腕を引っ張る。
「観念しろ」
男の無作法な手が、おもむろに彼女に伸びる。
「待…っ、」
「くそっ!」
僕が静止に入るよりも早く、白いワンピースを着た彼女は素早く身をひるがえし、男たちの間を縫って、テラス脇につくられた垣根を身軽に飛び越えたかと思うと、あっという間に逃げ去っていく
男たちが口々にののしり、先ほどと同じように、八つ当たり気味に周りのテーブルやイスをなぎ倒しながら、彼女のあとを追っていった。
あとには、嵐のあとのような静けさだけが残る。
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