手を繋ぐところから始めてください!
ヨハンといわゆる恋人同士になって早数週間。
俺は未だにヨハンと目を合わせられていない。
意識しすぎて会話もまともに出来ないし、キスどころか手もつなげないでいる。
「はぁーあ」
「どうした、十代」
「っえ」
顔を上げると、ヨハンとバチッと目が合った。
透き通った海のような翡翠色の瞳に吸い込まれそうで慌てて目をそらす。
「なっ何でもないぜ!」
「そっか。なら良いんだけどさ。帰ろうぜ」
「ああ!」
俺、いつからこんなウブになったんだろ。
ヨハンと目が合っただけで顔真っ赤にして、このままじゃキスさえ出来ないままなんじゃないか。それは・・・嫌だ。
俺だって人並みに欲求はあるし、やるところまでやりたいとは思ってる。ヨハンにだったら捧げて良い。
だけど欧米人だったら挨拶並に気軽にしてくるらしいキスもしてこないし、手だってつないでくれないし。
本当にヨハンは、俺の事を愛してくれているのか。
俺のこの想いを、ヨハンに押しつけてしまっているのではないか。
「らしくないっスね」
「翔・・・?」
翔は、俺をまっすぐ見つめた。
「アニキはここで立ち止まってて良いんスか?」
「嫌だけど・・・」
「だったら行動すれば良いじゃないっスか!ヨハンだってアニキの事が大好きだから恋人に!」
「・・・そう、だよな」
「そうっスよ!」
きっと、大丈夫。こんなところでうじうじしても何も始まらないもんな。
「十代!デュエルしよーぜ!」
「良いタイミングで来たっスね、アニキ」
翔がニコッとはにかんだ。
「行ってくる!!!」
「行ってらっしゃい!」
よし、俺はちゃんとヨハンに伝える!上手く言えないかもしれないけど・・・
「ヨハン!」
「何だ?十代」
俺はスゥっと息を吸った。




「お疲れ様っス、明日香さん」
「そっちは上手くいったの?」
「あー多分大丈夫っス。・・・明日香さんは、大丈夫でした?」
「多分ね。もどかしくて見てられなかったし」
「あー・・・確かに」


「手を繋ぐところから始めてください!」



なんだよ2人共もどかしいな!




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bkm


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