無題、かっこ閉じ。
「あのさ、分かってるとは思うけど・・・俺は今レポートに追われてるんだ」
「知ってる」
ヨハンは、やれやれと肩をすくめた。
「じゃあなんで邪魔するんだよ」
十代は背中にくっついていて、離れようとはしない。
「暑い」
「暑いんだったら離れろよ・・・」
「いやだ」
意味が分からない。
ヨハンは白紙のレポート用紙を見て大きくため息をついた。
「あーあ・・・明日提出なんだけどな」
「ヨハンは俺よりもレポートのが大事なのかよ」
「いやなんでそうなるんだよ。それこっちのが聞きたいんだけど」
「は?」
身に覚えがないのか、十代は眉をひそめた。
身に覚えがないはずがない。
デュエルアカデミアを卒業した後、今まで彼と連絡が取れなかったのだ。
友人も、先生も・・・そして、恋人であるヨハンも。
(こんなにも気にしてる俺が馬鹿みたいじゃないか)
「何でもない」
「ふーん」
「だから離れてくれ。レポートが書けない」
「やだね」
十代は、はっきりと拒絶する。
「久しぶりに会えたってのに何もできないのやだ」
「いやそんなこと言われても」
「だからさー、少しぐらい良いだろ?な?」
「余裕なさそうだな。なんかあるのかよ」
「・・・別にどうだって良いだろ」
そう言って十代はヨハンの背中に顔をうずめた。
「・・・余裕ないよ、俺。不安になってるんだよ。しばらくヨハンとも、みんなとも連絡取ってなかったからさ・・・」
「で?」
「ヨハンが俺から離れていっちゃうの嫌なんだ」
「ずいぶんと自分勝手だよな、お前って。・・・連絡も取ってくれなかったくせにさ」
「うっ」
「俺はお前以外とああいうことする気はねーけど」
これじゃあレポートもなにも書けないじゃないか。
「十代、どうしたいのか・・・何をしたいのか、はっきり言ってくれないと俺は分からないんだけどな」

(無題)

レポートは白紙のまま。


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bkm


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