いつも通り、時刻は午後7時。バイト帰りにアパートの近くにあるコンビニに寄る。円堂はいつも簡単な夕食をここで買っていく。たまに自炊をするがほとんどはコンビニ弁当で済ましてしまう。理由は2つ。
まず面倒だから。大学から出されている課題にはまだ手を焼いているため、時間もない。まだ大学生になってから2ヶ月程度というのもあるだろう。
もう1つは料理の腕がそこまで良くないからだ。そのため作るのにも時間はかかり、失敗も多いため材料を無駄にすることは多々ある。
以上により、円堂守はいつもこの時間にコンビニに立ち寄るというわけだ。

よく食べる冷やしたぬきうどんを手に取り、レジへ向かう。サラダぐらいは作り置きがあったのでこれぐらいでいいだろう、と思いながら。

「いらっしゃいませ」

円堂は鞄の中から財布を取り出し、小銭をまさぐる。店員が値段を言ったので千円札を手渡す。そのとき、初めて店員を視界に入れた。

「…え」

一瞬で目を奪われた。思わず息を呑む。空色の髪を横に流して縛っていて、その髪を揺らしながら、レジをゆるりと打つその何気ない動作さえも見惚れてしまうほどで、そう、まるで君は、

「…青空」
「…え?」
「あっ!いっ、いえ!なんでもないです!」

思わず心の呟きを口に出してしまった。これじゃあただの危ない中二病な奴じゃないか。しかし君はよく聞こえていなかったらしく、不思議そうな顔を一瞬浮かべただけですぐに優しい「店員の笑顔」を円堂に向けながらお釣りを手渡した。
受け取るとき、ちらりと君の名前を見た。
「かぜまる いちろうた」
そのとき、ほんの少しだけ、少しだけ感じてた違和感を理解する。

この人、男だ。

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