『まもるしってる?おねがいごとをほかのひとにいうと、かなわないんだって』
『え!?ど、どうしよう…おかあさんにいっちゃったあ…』
『なっなくなよ!だいじょうぶ、かなう、ぜったい』
『…ほんと?』
『ほんと。ほんとだよ』
『…えへへ。いっちゃん大好き!』



「あー、そんなことあったっけ」

円堂が恥ずかしがりながら言った。その様子が面白くて、笑ってしまう。冬なのに顔がりんごあめのように赤い。
昔もこうやって元旦に二人で初詣しに来た。賽銭を入れ、お願い事を唱える。そのさいに、円堂はうっかりお母さんに願ったことを言ってしまったらしい。「願い事を他人に言うと叶わない」ということを言ったら、本当に信じてしまったらしく、円堂が号泣してしまったことを覚えてる。
俺はうろたえながら「ぜったいかなうから」と何度もたしなめた。そういえば、あのとき何を願ったのだろう。

「ほら、順番来たぞ」

さすがに元旦当日は人が多くて、長い列が出来ている。俺たちも結構並んでやっと順番が来たぐらいだ。賽銭箱に10円玉を投げ入れて、頭の中で願い事を唱える。
円堂は、何を願っているのだろうか。


俺たちは無事初詣を終えて賑わう露店を訪れていた。円堂はりんごあめを美味しそうに舐めている。

「なあ、何お願いした?」

円堂はりんご飴を舐めながら俺の方を振り向いた。顔を綻ばせ、「今度は言わない!」と言った。気になってたんだけどなあ。まあいいか。

「あっでもこれだけ教える。今日願ったことは、あのときの願い事と同じ!」

白い歯を大きく見せて笑う。俺は小さく笑って「叶うといいな」と言いながら円堂の赤くなった鼻を冷たくなった指で摘まんだ。「ふがっ」という声にまた笑った。白い息が、風と共に消えていく。
俺の願いも、円堂の願いも叶いますように。


(ずっと風丸と居られますように)
(ずっと円堂と居られますように)

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