神童と霧野と狩屋

2012/08/14 23:47

「狩屋。この五円玉を見ろ。お前はだんだん眠くなる…お前はだんだん眠くなる…」

「…なにやってんすか霧野先輩」

「催眠術だ!」

「胸張って言うことでもないですし、古典的すぎませんかね」

「なにしてるんだお前たち…」

何やらしている霧野と狩屋に声を掛ける。このまま放置してたらずっと馬鹿騒ぎが続きそうな気がする。しかしそれにしても狩屋の言うとおり古典的な催眠術だ。

「わあ神童!あーもーこれ成功したら神童に催眠術かけようとしてたのに!」

「俺は実験台すか」

「俺に何かけようとしてたんだよ…」

「これからも宿題写させてもらえますように」

「…お前なあ」

「霧野先輩さいてー」

霧野が狩屋をぎらりと睨む。狩屋は臆することなくそっぽを向いて知らんぷりしている。意外と仲が良いな。

「あー催眠術かからないかあ」

「素直に頼めばいいだろ」

「え!?写させてくれるの!?」

「解こうという努力をしたらな」

「え〜…」

「キャプテン意外と厳しいですねえ」

「これが当たり前だ」

「いーや神童は厳しすぎるね!」

ぎゃんぎゃんと3人で言い合う。なんだかまるで、父親の気分に浸っているようだ。

結局、霧野は「試しに催眠術かけさせて!」と俺にかけたが、案の定かからない。当たり前なのだけど。




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