ワンダーランド!3
目を開けると意識をなくす前との違いに少し戸惑った。 まず、自分が眠っていたのは先ほどまでいた女王の城の庭ではなく野外裁判所?だった。被告人席には兵助がおり、裁判官の三郎と睨みあっている。名前は女王側におり、何故か檻の中に入れられ周りをトランプの兵士に守られていた。
(あれ、゙俺゙の意識がある)
自分はたしか「夢をみてるな〜」と思いつつも身体は勝手に動いてたはずだ。頭の中にはちゃんとアリスの兄の思考もあって、たまに゙俺゙が出れるくらい。なのに今は自分の意思で動くようになっていた。 確認するように両手をワキワキ動かしていると檻の向こうに兵士のものではない足が現れた。 顔を上げるとそこにはチェシャ猫…の格好をしたハチがいた。
「よく眠ってたなぁアリスのお兄様!お茶とお菓子に薬が入ってたみたいだが気分はどーだ?」
快活に笑うハチを見た瞬間、身体の奥がドクンとした。
「…ハチ、裁判はどうなりそうだ?」
「女王陛下の望みのままに、だな。」
「……兵助はどうなる?」
「アリスはアンタを女王に差し出せば何も。女王は相当アンタに嫌われたくないらしいな」
「つまり俺さえどーにかなってしまえば兵助に罪はないと」
「どうするんだ?アリスは女王との結婚は反対してるんだぞ」
「ハチ、お前が好きだ。俺と結婚して」
檻ごしにハチの手を握り熱烈にプロポーズする。胸が異常なほどドキドキして目の前の人が好きで堪らない。
「は…はぁ!?いいきなりななな何言って…!!?」
「落ち着いてハチ可愛いから。そんな顔真っ赤にして尻尾ゆらゆらさせてる姿他の男が見たら俺嫉妬しちゃう。自分でも気持ちが昂ってちょっと異常だな、て思うし多分三郎に何か盛られたみたいだからそれのせいじゃないかな。にしても本当に可愛いなハチ猫耳とか!愛でたくなるよ」
「ああアリスのお兄様」
「名前って呼んで」
「名前、さん…」
顔を赤くしながら見つめ合う二人…その距離はだんだんと近づ
「何してるのだ?ハチ」
「裁判中なのにちょ〜っと不謹慎じゃない?」
兵助と勘右衛門に阻まれた。 二人に目を向けるとスーッと気持ちが落ち着いてくる。どうやらハチを見ない限り薬は効かず、正気でいられるらしい。なんてご都合主義なんだろうか流石、夢
「兵助、勘右衛門ここから出してくれ」
「名前先輩が俺の名前を呼んで…!」
「うん、お前のお兄様じゃなくて先輩の俺です。ここから出して」
「出てどうするんですかー?女王があの調子ですし逃げられないですよ」
指差す方を見ると自分が持った薬で俺がハチにプロポーズしたことに癇癪を起こしてトランプ兵に八つ当たりしている三郎がいた。 あいつが最高権力握ってるとか…
「何とか覚めるしかないだろ。」
兵助に目で訴えると黙って頷かれた。 よくわかっていない様子の勘右衛門も黙って檻の鍵を開けてくれた。ピッキングとか多才だな 檻から出ると自然と脚がハチの元に向かい、まだポ〜ッとしていた彼女を抱きしめた。一度尻尾がビシッ!とたってからゆらゆら揺れている。嬉しいのか良かった。
「何としてでも早く夢から覚めるのだ」
「よくわかんないけど〜なんか面白くないからアリスに協力するよ!」
団結してくれたみたいで何よりだ。 腕の中のハチに目をやると控えめに顔を胸にスリスリしていてゴロゴロ喉を鳴らしていた。何これ可愛すぎる 思わずハチの肩を掴み少し離してから顔を寄せるとハチは頬をサッと赤く染めた。
「ハチ」
「………ん」
優しく呼ぶと目を泳がせた後、ゆっくり目を閉じて顎をあげた。所謂キス待ち顔である。 頭の中可愛いの文字で埋め尽くされ俺は再びゆっくりとハチに顔を寄せ
「このタイミングで夢オチとか…!」
神様は俺が嫌いなのか 机に突っ伏していた顔をあげるといつも放送部の練習に使用している空き教室だった。 いつの間にいたのか勘右衛門に三郎に加え、いつもの2年生組もいる。 その中には勿論ハチもいるわけで。皆居眠りしているようだが、
「起きてるでしょハチ」
「っ……」
髪から覗く耳は真っ赤だし俺の呼びかけに肩がピクリと動いた。 あんな夢を見た後なのと可愛らしいハチの反応に俺の気はいつもより大きくなったらしく、
「夢の続きがしたいって言ったら嫌?」
「えぇ…!」
なんて言って思わず上げてしまったのだろうハチの顔も気のせいか期待しているように見えて、
堪らず皆が寝ている間にキスをした。
(面白くない夢だったのだ) (あれ?兵助も夢見てたの?同じ夢だったりして!) ((夢でくらい素直になれたっていいのに…)) (ハチ大丈夫?顔赤いみたいだけど) (うぇ…!?い、いいやな何でもないぃ…!)
*** ひたすら雷蔵に謝りたい 誰かかわかっこよくてスマートな雷蔵様の書き方を教えて下さい
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