いつも放送部が使用している空き教室に来て欲しいと頼むと余計なのまできた。しかし、


「あの、名前先パイどうしたんですか?」

「ちょっと苦しいです…」


斉藤のせいで俺は非常に疲れていたので目の前の後輩達にとても癒された。いきなり抱きつくほどに。
勘右衛門と雷蔵マジ癒されるー


「……………。」

「三郎、名前先パイに嫉妬するか雷蔵に嫉妬するかどっちかにしろよ」

「……………………。」

「兵助お前まで加わろうとするな!三郎が泣きそうだ!!」


三郎はあえてスルーしてみた。
ハチ、お疲れ様です。



だいぶ充電出来たので本題に入る。


「雷蔵、ハチ、勘右衛門にお願いがあって呼んだ」

「はーい、先パイ!それってそこの人と関係あります?」


勘右衛門が俺の後ろを指差す。
火男がきをつけの状態のまま固まっていた。おいおい…


「そうだ。写真を撮らせて欲しい。三郎と兵助も来たし、一緒にどうだ?」


俺が入るのは問題があるが2人なら大丈夫だろう。三郎と兵助もランキング上位組だしな


「いいですけど…なんで今写真なんですか?何かに使うんですか?」

それはハチの心からの疑問だった

「馬鹿だなぁハチ!男の人が女の子の写真を欲しがるってそーいうことでしょ?」

「文字通り使うんだろ」


勘右衛門と三郎の一言で一気に俺の股間へと視線が集中した。
おい、どこ見てんだよ


「違うから!てか何?異性の写真持ってたらそんな風に思われてるの!?偏見よくない!!」

「名前先輩…あの、俺は覚悟出来てるんで写真なんかじゃなく俺自身で…」

「なんてこと言い出すの兵助!?」

「え、使う…?………!!えっえぇええ名前先パイ!!?」

「違うから!!ハチ違うから!でもなんかゴメン!下ネタ駄目なんだねっ不謹慎だけど顔真っ赤で可愛い!!」

「名前先輩そーいうのは生理現象なんで仕方ないと思うんですけどその…あの…」

「雷蔵ゴメン。冷静に返されるとちょっと恥ずかしい…てかお前らぁ!笑ってないで誤解をとけ!!」

「えー俺達わかんないよなぁ三郎?」

「あぁ、名前先パイがナニに使うのか教えて貰いたいなぁ勘右衛門?」

「あぁーちゃんと言う!言うから落ち着いて下さい!!!」

放送部の後輩マジたち悪い




勘右衛門は自分の周り、三郎は雷蔵の周りを最近変な奴等が彷徨いているのを警戒していたらしく、ランキングの話をしたら納得がいったようだった。聞けば女子の間でも噂になっているらしく「本当にあったんだ」なんて言われた。あまり女子に口外したくないがこいつらなら大丈夫だろう
因みに雷蔵が1位、ハチが2位、勘右衛門が3位だった。2年の男子は親しみやすさがポイント高いのだろうか。今更だがこのランキング、学年で好みのタイプが出るよなぁ。1年と3年の票もあるだろうが可愛い子の情報はやはり同学年が一番多く、それが他学年に渡るからな。
雷蔵の1位は納得だ。流石天使。
ある程度説明を終えると雷蔵が苦笑しつつ口を開いた。


「好意は嬉しいですけど知らない人が写真を持っているのはちょっと…」

「うん、それこそ何に使われるか分かんないし」


手厳しいな勘右衛門。
ごめんなさいムードが流れてどうするかと火男と顔を見合わせる。


「先パイは、」


ハチの声にそちらを向く。
さっきからハチが喋るたびに火男がピクッと反応するのが面白い。こいつ、わかりやすいよなぁ


「なに?ハチ」

「名前先パイは…誰に投票したんですか?」

緊張した声だった。

「え…俺?」

「先パイだって投票してるはずですもんね」

「いや、うんしたけど…相手に分かんないから投票出来るっていうか」

「つまり、この中の誰かに投票したってことですよね」

「グイグイくるねハチ…」

「名前先パイが教えてくれるなら俺は写真オッケーしてもいいです」

「!!」


マジか。俺としては有難い話だがいいんだろうか?


「…火男」

「…………。」


俺と火男は無言で見つめあうと同時に頷いた。
やることは一つしかない。


「お願いします!ただ純粋にお前らを慕っている奴等の願いを聞いて欲しい!!絶対変なことに悪用しないと誓います!!五人一緒の写真でいいので撮らせて下さい!!!」


そう、土下座だ。
俺と火男は2人で綺麗な土下座をした。


「せっ先輩わかりましたから!顔をあげて下さい!!」

「そこまでやられちゃやるしかないかぁ。ね、兵助?」

「俺は名前先輩のお願いならなんだって…」


それぞれの声が聞こえてくる。
しかし、三郎の声がしてこない。頭を上げるわけにはいかないのでそのまま三郎の声を待つ。


「………名前先パイは、」


目の前に三郎の上履きが見えた。
顔を上げると眉間に皺を寄せた三郎がいた。


「誰に投票したんですか?」

「…言ったらオッケーしてくれるか」

「考えてはみます」


参った、よりにもよってこいつかよ。いや言ったら食いついてくるとは思ってたけどさ
自然と溜め息が出た。


「恥ずかしいから言いたくなかったんだけどな…」


ゴクリ、と誰かの喉がなる音が聞こえた。
てかそれより兵助からの視線の強さのが気になる。こえー…


「三郎だよ」

「……………え、」


まさか自分とは思っていなかったらしく、かなり間抜けな顔をしていた。おぉ、レアだな。
後輩のレアな表情に少し照れくさくなり笑った後、ぐしゃぐしゃと頭を撫でた。


「……なんつーかなぁ正直に言うとさ、我が儘な妹みたいで可愛いんだよな」


何人かがずるっとコケた。え、なんで?
首をかしげていると三郎がぷるぷる震えだしだ。いつもなら「名前先パイのバカ!セットが崩れます!!」とか全く嫌そうな顔してないけど言ってくるのに。


「三郎どうし「名前先パイの鈍感ー!!バカーー!!でも好きぃぃいいい!!!!」んがっ…!」


いきなり凄い勢いで抱きついてきた三郎に負け、倒れて頭を床に打ちつけた。ちょー痛い…

写真は無事オッケーをもらえて2年の人気女子達の仲睦まじい良いものが撮れた。三郎がいつも以上にべったり離れなかったが、今回は俺も抵抗せずそのままにしていると暫くして兵助が三郎の首に手刀をし、ハチが床に伏せさせ雷蔵が雑に回収していった。
流れるように鮮やかな連係プレーだった。


その後、「俺も先パイの直接の後輩なのに!」とぶーたれる勘右衛門を宥めるのが一番大変だったかもしれない。


((あれ、そういえば途中からハチが静かだったような…))
(名字、次行くぞー)
(あ、うん…)