※実在の放送部とは全く違います






『名前先パイ、3年2組名字名前先パイ。至急放送室に来て下さーい』

HRが終わった直後あった放送にげんなりする。不真面目な先輩の呼び出しでもちゃんとやってほしい。一応学園内に流れるのだから。クラスメートにからかわれつつも放送室に向かう。にしても部長じゃなくてあいつらが呼び出しとか、何故に?

疑問を抱きながらも放送室に入ると「がふっ!?」ラリアットがとんできた。結構手加減なしな威力にビックリ。鼻血出てない?
既に涙が浮かんでいる目で前を見たら、スカートがずり落ち腰で止まって下着が見えてしまっている+セーラーの上を今まさに脱ごうとしていた鉢屋がいた。


「ヤッダー名前先パイってば相変わらずラッキースケベ体質ですよねー後輩の着替え中に入ってくるとか!それとも私のこと狙ってます?キャッ三郎困っちゃうー!」

「断じて狙ってないぞ鉢屋。それに放送部なんだからここに来るのは当たり前だろうが。放送までしあがって。」

「でも学年が上がってから一度も活動に参加してないじゃないですか名前先パイ」

「尾浜…笑顔で痛いとこついてくるね。あとお前のラリアットちょー痛い。」


ニッコリ笑う尾浜とニヤニヤ笑う鉢屋。放送部の、素直に可愛いとはとても言いづらい後輩達だ。
ニッコリしてる方が尾浜勘右衛門。うどんのような特徴的な髪を長いポニーテールにしている後輩その1だ。明るいし食いしん坊だし頭良いしで可愛い女の子、なのだが俺に躊躇いなくラリアットしてくるあたり油断出来ないヤツである。たまに黒いし
そしてニヤニヤしてる方が鉢屋三郎。山吹色の綺麗な髪をショートボブにした常時半目な後輩その2だ。人をからかうことを生きがいにしている可愛くないヤツ。凸凹の少ない身体(よく言えばスレンダー、しかしよく言うつもりはない)はなんというか中性的で引き寄せられるものがあるらしい。計算されたスカート丈は彼女の美脚をより一層際立させている。腹立つな。
また、図書委員会所属の彼女の従姉妹の不破雷蔵を盲愛している。確かに彼女は可愛い、いさっくんに並ぶ天使っぷりだ。
尾浜の攻撃からなんとか回復して先ほどから言いたかったことをいう。


「二人共ここで着替えるのはよせ。更衣室があるんだし、さっきみたいに誰がいつ入ってくるかわからないんだからな。男だったら危ないだろ」

「大丈夫ですよ先パイ、いつも着替えてませんから。先パイが来るのでサプライズにって三郎が。万が一ムラムラされても困るので直ぐ様ラリアットはしましたけど」

「三郎にムラムラするほど俺って欲求不満に見えるのか…」

「いや、だから万が一ですって!」

「二人の言葉が痛い!!」


精神的ショックを受ける俺とケラケラ笑いながら否定する尾浜。俺の腕にしがみついてプリプリ怒っている鉢屋。あぁまたこいつらに振り回されるのか…


「ところで部長は?」

「いませんよ?」

「え?」

「受験に集中したいからって。フォローはするけど活動はお前らに任せるって言ってました。だから事実上、三郎が部長みたいなもんです」

「……………マジで?」

「マジでーす。これからは部長命令で名前先パイにあーんなことやそーんなことまで……」

「鉢屋、セクハラは立派な犯罪だぞ」

「三郎気持ち悪い」

「……………………。」


二人共ノリが悪いとか言って泣き出す…ふりをしている鉢屋。顔をおおった手の隙間からたまにチラチラ見てくるのがとてもウザ…面倒臭い。(一応後輩で女の子にウザいはないな、うん)


「ところで代理で俺が部長とかにはならないのか?尾浜」

「先パイは不定期参加なので除外されたんですよ」

「あぁ成る程…てかただでさえ弱小部なのに大丈夫か?」

基本的にうちの部は好きに朗読したり行事の時はアナウンスしたりしているだけで他の部に比べて競争精神が弱い

「新入部員はゲットしましたよ?」

「マジか!!!」

「先パイが来る前に来なくなりましたけどね、籍はあります。」

「(尾浜、何したの?)」

「私を無視しないでぇぇえええ!!!!」

「うご…っ!」


鉢屋に後ろからタックルされたが意地で踏みとどまる。そのまま背後から抱き着かれるがどちらかというとおんぶお化けっぽい。ため息がでる。


「どうすんだよ三人で活動とか…」

「たまに中等部から見学が来ますよ。中等部の放送部の子がー」

「女の子かー肩身狭いからできれば男がいいなぁ…」

「いいじゃないですか名前先パイ!ハーレムですよっ!」

「うおっ尾浜、抱き着くな!」

「ちょっ名前先パイ私の時と明らかに反応が違います酷い!」

「気にするな鉢屋、区別だ」

「………ッ!!!」

あ、ヤバい。マジで泣きそう

「先パイ酷いんだー。三郎胸のこと気にしてるのにー」

「具体的に胸とか言ってないじゃん!!あ、いや違うんだ鉢屋うんごめん本当はお前に抱き着かれてドキッとした」

「ぐすっ本当に?」

「あぁ本当だ」

「傷ついたんで帰りに何か奢ってくれます?」

「ゔ……わかった」

「「やったー先パイ有り難うございまーす」」


同時に俺から離れる後輩ズ。やっぱ嘘泣きかよ……


「……はぁ、まぁ泣いてないならいいか」

「…名前先パイのそーいう男前なとこ好きですよー」

「うそつけ」


ニヤニヤしながら言う鉢屋の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。


(てか部長絶対面倒になっただけだろ…)