ドッキン
「わー!!」
「………。」
ここ暫くの間、このようにいきなり私の前にいきなり神崎が現れる。 欠伸をしながら歩いていたら忍たま四年の先輩の蛸壺に落ち、上を見たらヤツが見下ろしていたり、くのたま長屋の縁側で一人のほほんとしていたら「名前ー!!」と言いながらいきなり手裏剣を投げつけられたり、鬼の会計委員長のお面をして追いかけまわされたこともあった。あれは途中で勝手に神崎が消えたが怖かった。 しかし、くのたま一と言っていいほど面倒臭がりな私は大した被害もないので(くのたまの悪戯と比べたらどれも可愛らしいレベルだ)放置していたのだがなんかもう色々この状況がメンドイ。 今も自室でゆっくり本を読んでいたら上記のような言葉を叫びながら後ろからとびつかれたのだ。 神崎は何がしたいのか、何か以前私がしてしまったのか。 理由がわからない
「……三年ろ組神崎左門」
「お!なんだ名前!!ビックリしたか!?」
「いや、気配で気付いたのでさほど。…この間からいったい何なんだ?」
「僕は名前にビックリしてドッキンしてほしいんだ!」
「わからない。一先ず手を退けてくれ話をしよう。」
読みかけの本を閉じて神崎の方を向くと神崎はニカッ!と笑った。眩しいほどの笑顔だ頬が疲れたりしないのだろうか。
「名前はつり橋効果という言葉を知っているか!?」
「あぁ…なんとなく、ぼんやりと」
「僕はこの前三之助に教えてもらったんだ!不安やビックリした時のドッキンは恋のドッキンと似たものらしい!!」
「…それで連日のあれか?」
「そうなんだ!!名前は僕にドッキンしたか!?僕は名前が凄く好きなんだ!見てるとドッキンドッキンする!!」
そう言ってまた太陽のようにニカッ!と笑う。心なしかほんのり頬が赤い。嫌がらせだと思っていたがあれは彼なりのアプローチだったらしい。
「とりあえず私はどんなビックリよりも神崎の笑顔にドッキンするみたいだからもうビックリは止めてもらえるか?」
神崎はキョトンとした後、とびきりの笑顔で「ああ!!」と言った。 今までで一番ドッキンした。
(素直じゃない奴) (黙れ次屋) (毎日左門に会えて嬉しかったくせにー) (………)
*** 左門の笑顔に胸キュン 不安にはさせたくない!ということでビックリをチョイスしそうな左門さん 三ろは凄い男くさいイメージがあります ※吊り橋効果については諸説あります
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