雪嫌い



※現パロ


その日は朝から雪が降っていた。
僕らがせっせと授業を受けている間も降り続けて放課後、帰る頃にはローファーが歩くたびに少し埋るくらい積もっていた。


「最悪だわ」

「何故?」

「雪が降っているからよ」

「寒いなら、手を繋ぐ?」


手袋の片方を外してコートにしまい、右手を彼女にさしだすとすぐに彼女の左手と繋がれた。


「雪がね、あまり好きではないの」

「確かに通学時、電車が止まったりすると困るよね」

「あら、それは堂々とサボれるじゃない」

「あーいうのはね、皆は授業を受けているのにっていうドキドキ感が大事なんだよ」

「学級委員長の言葉とは思えないわ」


クスクスと名前は笑う。一頻り笑った後、立ち止まり空を見上げた。雪はまだ降り続いている。


「降っている姿は灰と塵みたいだし、地面につけば誰かに踏まれて汚れるもの」

「僕は結構好きだよ」


彼女が僕の方を見る。


「何故かしら?」

「こうやって名前と手を繋げるし冷えてる、なんて言って頬を触れるだろ?」


彼女の頬を手で包むように触る。しまった、手袋を両方外しておくんだった。彼女は少しの間僕をじっと見つめるとクスリ、と笑った。


「それは雪が降っている、降っていない限らず寒いなら出来るじゃない」

「そういえばそうだね」


頬から手を放してまた歩きだそうと彼女の手をひく。雪が降るくらい寒いのだから風邪をひいてしまうかもしれない。


「庄左ヱ門」

「な…に…」


振り向くと頬にキスをされた。


「雪がついてたのよ」

「名前、雪は肌に触れると溶けるものだよ」


僕が笑ってそういうと彼女はやっぱり雪って好きじゃないわ、と不満げに言った。


***
庄ちゃんとなら雪の中でも手を繋ぎたいです



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