カタリ、という小さな音にゆっくりと目を開けば、辺りはいつの間にかオレンジに色づいていた。
窓側の列、一番後ろの席で机につっぷしていた私は瞬きをしながら体を起こそうとする。
しかし、視界に飛び込んできた人影に動きを止めた。
同じクラスの、折原臨也くんだ。
ほとんど話したことはないのだが、日々の平和島くんとの追いかけっこや友人から聞く噂のおかげで近寄りがたい印象を持っていた。
彼がこちらを振り返るような素振りをしたので、私は咄嗟にもう1度机につっぷし、狸寝入りをしてやり過ごそうとした。
きっと忘れ物でも取りに来たんだ。
私と彼に接点なんて何もないし、話しかけてくることもないに決まってるんだけど、それでもやっぱり彼はちょっと怖い。
すぐいなくなると思っていたのだが、何故かすぐ側に彼の気配を感じんた。
イスを引く音と、「よいしょ」という折原くんの小さな呟きが聞え、多分私の前の席に座ったのだろうということがわかった。
そこから動く気配はない。
何がしたいんだろうと不思議に思っていると、不意に、髪に手が触れた。

「っ!」

折原くんの指が私の髪を優しく撫でている。
どうして折原くんがそんなことをしているのかわからないまま、男の子にそんなことをされた経験などない私は、じわじわと体温が上昇していく。
きっと頬は赤くなってしまっていることだろう。
どうか、折原くんに気付かれませんように…!





染める
(いつまで寝たふり続けるの?)
(っ!!)
(あはは、バレバレ。ほっぺ、赤いよ?)
(ゆ、夕陽の…せい、かな…)






2013.11.6





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