大きな歓声と拍手に送られてコートを後にした選手たちを、あたしは無理矢理作った笑顔で迎えた。
彼らのほとんどは泣いていた。
タオルを頭から被ってしまって、ちゃんとは見えなかったが、あの紫原でさえ瞳が潤んでいた。

「悪ぃ…負けちまった」

それなのに、最後に戻ってきた彼の目には涙なんか浮かんでいなくて、真っ先にあたしに謝る健介に堪えていた涙が溢れた。

「…なんでお前が泣くんだよ」
「健介がっ…泣かない、から…」

当事者じゃないあたしでさえ、こんなに悲しくて悔しくて涙が止まらないのに。

「戦った健介たちが、辛くないわけっ、ないじゃないっ…!」

あたしを前にしてまで、強がらなくていいから。
泣こうよ、健介。
溢れ出る涙を拭いながら途切れ途切れで伝えれば、健介に抱き締められた。
顔を埋めている肩口がじわりと湿っていくのをはっきりと感じて、余計に涙は止まらない。
あたしは健介の背中に腕を回して強く力を込める。
時折漏れる嗚咽に、胸が苦しくなる。
今日、これで健介たちの全部が終わった。
今までの全てが、終わったんだ。





溶け合う
(涙に溺れる)







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