「…いい加減、何か言ってよ」
「っ、わかってるってば…!」

そう返すものの、肝心な言葉が出てこない。
ずっと側にいたんだ。
小学校も中学校も一緒で、高校はわざと総司と同じ此処を選んだ。
いつまで側にいたかった。
だけど、側にいるだけじゃ足りなくなった。
幼い頃から総司のことが好きだった。
でも、高校に入ってから身長が伸びて、髪を染めて、どんどんカッコよくなる幼馴染が自分から離れていくような気がした。
それが嫌で、私の側にいつまでも居てほしくて、いつまでも私が総司の一番でいたくて。
だから、総司に告白しようって決めた。
決めたのに。

「ルイ、」
「い、今…言うから……」

なのに、総司の前に立ったら、急に恐くなった。
言ったら、何かが変わってしまう気がしてきて、何も言えなくなってしまった。
幼馴染だから、登下校は一緒だし、家に帰ってからだって一緒にご飯を食べることもある。
今まで、そんな些細な時間に幸せを感じてきた。
だけど、もしも私が総司に気持ちを告げて、それが受け取ってもらえなかった時、そういうことは、もう出来なくなっちゃうんじゃないか。
そんなことを考え出したら、口から言葉は出てこなかった。
総司が離れていっちゃうのは嫌。
いつまでも総司の側にいたい。
だけど、総司との関係が崩れてしまうのも嫌。
決めたはずだったのに、気持ちを伝えようとするのが、こんなに怖くなるとは思わなかった。
喉元まで出てくる言葉は、いつまでも声に乗せることは出来なかった。
私は、総司の前で顔を上げることができないまま、俯いていた。





躊躇う
(言いたい、言えない)










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