コトッ、と小さな音を立ててテーブルの上に置かれたのは、ドラマとかでよく見る高級そうな紺色の小さな箱。
なんとなく中身は想像できた。
だからこそ、それが自分の前に置かれたということに驚き、置いた本人の顔を慌てて見上げた。

「音也、これ…」
「俺、本気だよ」

いつも私を笑顔にしてくれたあの無邪気な笑顔はそこにはなくて、私に告白してくれた時のように真剣な表情だった。
その言葉がなかったとしても、音也が本気なんだってことがわかる。
胸がきゅっと締め付けられて、何だか泣きそうになった。

「俺…まだまだ新人だし、苦労かけないから!って、言い切れないんだけど…でも、それでも…ルイを幸せにしたい」

真っ直ぐに私を見つめる音也の視線と絡む。
答えなんて決まってるのに、音也は不安気に眉尻を下げている。
私はその表情に思わず微笑んだ。

「苦労かけるかもしれないけど、絶対に幸せにするって約束する!だから、これから先の人生、俺と生きてくれませんか…?」

一つ一つ選ぶようにゆっくりと紡がれた音也の言葉に、私は耐え切れず涙を零した。
今まで生きてきて、こんなに嬉しいと思ったことはない。
人に想いを告げてもらえるのが、こんなに嬉しくて幸せなものなんだって、初めて知った。
私は、音也の左手を両手で包み込み、薬指にキスを贈った。
涙の溢れる瞳で見上げれば、音也は驚いたように目を見開いていた。

「…幸せに、してください…音也と、いつまでずっと一緒にいたい」

私の言葉に、音也は見たことがないくらいに優しく笑った。
そして、今度は私の左手を取り、あの小さな箱から取り出したシルバーリングを、私の薬指にはめた。

「ありがとう、ルイ…」

音也のこのときの笑顔を、私はきっと一生忘れない。




誓う
(君との人生を)









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