テレビをなんとなく眺めていれば、部屋に響いたケータイの着信音。
ほんの少しの期待を抱いてメールを開けば、いつもと変わりばえのしない文面に落胆する。

『今日も仕事で遅くなるが、大丈夫か?』

あたしはそれに、いつものごとく『大丈夫』と返す。
だって、仕事だと言われてしまえば、それ以外に返す言葉はないじゃない。
何が大丈夫かと聞いているのかわからないけど、あたしは大丈夫と答えることしかできない。
慣れてはいるが、やはり作ってしまう夕食は寂しげにテーブルに置かれたまま。
それを見れば、はじめが本当にあたしを愛してくれているのか分からなくなる。
あたしを愛していたから、生涯連れ添いたいと思えたから、だから結婚してくれたんじゃないの?
仕事が忙しいことなんか分かってる。
はじめが今の仕事に情熱を注いでるっていうのも分かってる。
だけど、分かってたから“大丈夫”ってわけじゃないんだ。
はじめの居ない広い家に一人というのは、どう考えたって“大丈夫”じゃない。

あたしは、いつものごとくテーブルに腕を枕にして顔を俯かせた。

「なんで…っ、気づいてくれないの…?」

はじめに会えなくて、“大丈夫”なわけないでしょう?




寂しがる
(本当はね、)


2012.12.29





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