お昼休み。
私を含む誠凛女子バスケ部の1年は、人で溢れかえる購買にいた。
目的は、かの有名なイベリコ豚…なんとか。
女バスでは、新入部員がこのパンを買いに行くことが伝統らしい。
この人混みの中に入りたくはなかったが、じゃんけんで負けた私は、意を決してそこへ飛び込んだ。
しかし予想外にも、小柄な私は人に揉まれながらもなんとか先頭へ辿り着くことができた。
目の前には残り一つとなったあのパン。
私は迷わず手を伸ばした。

パシッ
「「あ」」


私の手は、同じタイミングでそのパンに手を伸ばした人物の手にぶつかった。
視線を上げれば、そこには同じクラスのある人物の姿があった。
確かこの人、男子バスケ部の…。


「あの…?」
「…あ!ごめんなさい、どうぞ」
「いえ、ルイさんが買ってください」
「え、あたしの名前…」
「同じクラスですよね?それに、女子バスケ部の」

覚えてますよ、そう言って緩く微笑んだのは黒子くん。
その瞬間、あたしの世界は黒子くんだけになった。






触れる
(恋の始まり)



2012.12.28





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