「…お前、何してんだよ」

山のように積まれた洗濯物が入った籠を抱え、ほぼ前の見えない状態でフラフラと甲板へ向かう私。
突然正面から声が聞こえて、私は慌てて立ち止まった。

「その声はシャチ?」
「そうだけど…どんだけあんだよ」
「だってつい昨日まで潜ってたから、洗濯出来なかったんだもん」
「あぁ、そういやそうだったな」

立ち話をしているうちに腕が疲れてきて、私は一旦床に籠を降ろした。

「船長に言われたのか?」
「うん、本読んでたら働けって取り上げられたの」
「まぁ今日晴れてるもんな」
「そうそう、私この船の雑用担当だしね」

そんなことを言いながら、今のこの状況をもし船長に見られたら私は怒られる気がしてきて、少し青ざめた。
シャチにどうしたのかと聞かれたが、私は乾いた笑いをもらし、いそいそと籠に手をかけた。
だけどその瞬間に、籠は私の手からするりと奪われた。

「え、シャチ?」
「甲板だろ?俺も行くとこだから持ってってやるよ」
「ホント!?ありがとう!」

さっさと歩き出すシャチに置いていかれないように慌てて後を追いかける。
隣に並んで歩けば、シャチがいつもよりカッコよく見えて、胸がときめいt…

「まぁ、お前に任せて転ばれでもされたら、俺たちが船長に晒し首にされちまうからな」
「…え、自己保身なの?」
「お前がケガしたときなんか俺たちに明日はねぇからな」
「…シャチのばか!!」
「いってぇ!」





ときめく
(私の胸のときめきを返せ!)



2012.12.25





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