「っ、ぅっ…ひっく、ぅ……」
「…泣くな……」

執務室のソファに腰掛け、かれこれ20分は涙を流し続けているルイ。
俺はその前に立ち、どうしていいかわからないまま、とりあえず慰め続けている。
コイツが泣いているのは、隊長が重傷だと聞いたときからで。
ルイは六番隊の誰よりも隊長を尊敬し、慕い、憧れ、そして隊長のことが大好きだった。
俺だってもちろんのこと隊長を尊敬していて、越えたいと思い続けているが、コイツの想いにはきっと負けるだろう。
それぐらい隊長のことが大好きなコイツが、隊長がやられたなんて話、耐えられるわけがねぇんだ。

「そんなに泣いても、隊長は喜ばねぇだろ」
「わか、ってる…けど、とま…な…っ」

こうしてコイツの涙を見ていると、長年心に秘めている黒い感情が顔を出す。
俺以外の男のために泣くな。
俺以外の男のことを考えるな。
…たとえそれが隊長でも。
俺はこんなにもお前が好きなのに、どうしてお前はわかってくれねぇんだよ。
俯くルイの頬に手を伸ばし、そこに伝う雫を拭った。

「れ、んじ…?」

お前は、どうしたら俺を見るんだよ。

「大丈夫だ、隊長の強さはお前もよく知ってんだろ?隊長はこんなことじゃくたばんねぇ」

お前は、どうしたら隊長から離れるんだよ。

「う、ん…隊長は、強いもん、ね…!」

お前は、どうしたら俺のモンになるんだよ。

「あぁ、だからびーびー泣いてんじゃねぇよ」
「うん…っ、ごめん…」





慰める
(告げぬ想いに蓋をして)



2012.12.22





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