街に着く頃には辺りは橙色に変わっていて、街の明かりが幻想的に見えた。
同じ灯りでも街によって見え方が違うものだ。
露店が立ち並ぶ通りを歩いていれば、與儀が何やら腕輪が欲しいといって射的のような遊びをやりはじめた。
與儀は欲しいものに当てることができず、結局見ていた花礫が慣れた手つきで打ち落としていた。
流魂街にも射的の露店をやっている者はいたが、これは私の知っている射的とは銃が違うな。
現世の射的には銃身が短いものもあるようだ。
與儀のように何か欲しいものがあるといったわけではないが、やってみようかと花礫の隣で銃を構えたが、思うように当たることはなかった。
私が四苦八苦している後ろで、花礫が当てたものを抱えた與儀と无が何やら話をしていた。
よく聞こえなかったが、突然飛び込んできた声が耳に届いた。

「花礫!?」

可愛らしい女の子の声。
振り返れば、長い髪に大きな目で傍目にも美人だとわかる子が花礫を見つめていた。
ここは花礫の地元だからな、親しかった友人だろうか。
ただ、ほんの少しの違和感を感じた。
この違和感はなんなのか…わからないまま、與儀と花礫と会話をする彼女を私はただ見つめていた。
しかし、話の途中で聞えてきた言葉に、はっと我に返った。

「私…人を殺しちゃったの…どうしようっ…!」

ツバメと呼ばれた少女は、泣き出し、その場に崩れ落ちてしまった。
突然何を言い出すんだ、この子は。
與儀も花礫も表情を少し硬くし、无は何があったのかわからないまま突然泣き出した彼女をオロオロと見つめていた。

「は?おい、ツバメ!」
「と、とりあえず、ゆっくり話ができるところ行こう?ね、花礫くん」

與儀の言葉に頷いた花礫はツバメをどうにか宥め、どこか話ができる場所に移動するよう諭す。
昔馴染みの花礫の言葉はツバメの耳にしっかり届いたようで、ツバメは少しずつ落ち着きを取り戻していった。

「无、大丈夫だ、大丈夫」

私は混乱する无を撫でながら、花礫たちを見つめていた。



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