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「え、ちょ、何笑ってるんですかっ」
「いやぁ?だからお前をつけたんだ」

名前と花礫、與儀の3人で療師の元に无が目覚めたことを伝えに来たあと、與儀は一人平門に呼び止められた。
部屋で細かい作業を手伝いながら、无について話をしていた。

「ところで與儀。先ほど能力者と交戦した際、名前も一緒だったらしいな」
「そうなんですよ!名前ちゃんが一番に気付いてくれて、俺たちに教えてくれたんですよ〜!黒い蝶が飛んできたと思ったら、名前ちゃんの声が聞えてきて…俺、もうっ、びっくりしちゃって…!」
「通信機能を持った蝶か…興味深いな。戦いぶりはどうだった、あいつはいつも剣を下げていたな」

平門の言葉に與儀ははたと思い出す。
艇を出てから、名前が剣を持っているところを見た覚えはなかったはずだ。
振り回していたのはいつもの剣とは別のもの、それも慣れた様子で。

「…そういえば名前ちゃん、俺の背より高い大きい鎌持ってました。真っ黒の」
「鎌?剣じゃないのか?」
「はい、戦って艇に戻ってきたときにはもう持ってなかったけど…あ!名前ちゃんすっごい強かったです!なんか呪文唱えて、手からなんか光をバーって出して!それに、すっごい強くって!それから…」
「大きな鎌に黒い蝶か…名前にはまだ聞かなきゃならないことがありそうだな」
「アレ?平門さん俺の話聞いてます?」
「あぁ、もう行っていいぞ、與儀」
「ひどい!平門さんひどい!」

泣きべそをかく與儀を尻目に、平門は思考を巡らせていた。




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