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言うや否や、化け物は懐から取り出した何かをこちらへ向けて投げつける。
飛んできた目玉を鎌で切り裂いたのだが、目玉から腕のようなものが何本も飛び出し、慌てて地面を蹴って避ける。
背後にいた无に気付いてはっとしたが、蝶が盾としての役割をしっかり果たしてくれていて、問題はなさそうだ。
少し後退してから目玉に向って手をかざす。

「破道の三十三 蒼火墜!」

大きな爆発音とともに目玉は1つ残らず全て破壊した。
あわよくば当たればいいと期待した化け物は、予想以上に俊敏な動きができるようで、私と同じように少し離れたところに後退していた。

「貴様には当たらなかったか、残念だ」
「あなた…面白い力を使うようですね、その黒い種が綺麗に見え始めました」
「意味のわからないことを言うな」

化け物は、今度は目玉ではなく木の枝のようなものを自在に操り、こちらへと伸ばしてくる。
こんなもの邪魔にもならない、と鎌を構えた瞬間。
ガキィンと辺りに響き渡った音とともに空から現れたのは與儀。
両手に持った細い刀で木の枝を刺し貫いている。

「无君!」

ツクモの声がして振り返れば、私の蝶に囲まれた无に手を貸して立たせてやるツクモと花礫の姿があった。
與儀も来てツクモも来て、これで无の心配な無用だろうと與儀の横に並んで化け物を見遣る。

「名前ちゃん見つけた!はぁ…教えてくれてありがとう。あれ、名前ちゃんの蝶でしょ?声が名前ちゃんだった」
「あぁ、それより…くるぞ」
「どいつもこいつも…邪魔をしないで頂きたい!」

化け物は懲りずにまたも目玉を投げつけてくる。
私は先ほど同様地面を蹴り、空に飛び上がると同時に、目玉に向けて蝶を飛ばせる。
蝶とぶつかれば目玉は爆発音とともに消え去るが、何分蝶よりも目玉の方が圧倒的に数が多く、私は蝶に当たりきらない目玉を斬る。

「與儀!目玉は避けろ!」

投げられたのが目玉だと知って、叫び声をあげる與儀に私の声は届いてないのか、剣を使って斬ろうとしていた。
剣に当たる直前でまたも変形し、與儀は避けきれずそれに捕らえられてしまった。




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