しばらく列に並んで歩き続け、大分慣れてきた頃。
一緒にいたイヴァと離れ、今は着ぐるみを着た與儀とともに、子供にお菓子を配っていた。
この着ぐるみは『ニャンペローナ』という『輪』のキャラクターで、子供たちに大人気らしい。
案の定、全身黒ずくめの私より愛らしい人形の方が子供には圧倒的に人気で、與儀の持っているお菓子の入った籠の中身はどんどん減っていく。
私はそれを苦笑しながら眺め、何の気なしに視線を投げていたら、こちらに向って走ってくる見覚えのある少年を見つけた。
先程イヴァにぶつかってきた、白髪の少年だ。
何やら必死らしく、彼の走る直線上にいる與儀に気付いていないようだった。

「おい少年!危ないぞ!」

目の前に子供達がいて彼に近寄ることはできなかったので、與儀にぶつかる前に声をかけたのだが、届いていないようだ。
少年は思いきり與儀に激突して走り去り、與儀は突然やってきたその衝撃でうつ伏せに倒れ込む。
追い討ちをかけるようにして、少年を追っているらしい現世の警備服を着た男が、與儀の背中を踏んでいった。

「あっ!失礼しましたっ!」

踏まれた與儀のことも気になるが、私はそれよりも走り去る少年の方が気になってしまい、外套の裾を翻して少年、それを追う警備員の後を追いかける。
途中で警備員は少年を見失ったようだったが、私は少年の霊圧を探して人ごみを駆ける。
見つけた少年は、先程も一緒だった黒髪の少年に手を引かれて走っていた。
止まらない彼らは一体どこへ向っているのか。
途中、何故自分は彼らを追いかけているのかと疑問に思ったが、何か胸騒ぎがするのだ。
そして、昔から私の勘は驚くほどよく当たる、それも、嫌なときのものばかり。
乱菊や一角には野生の勘だと言われたこともあったっけ。
これもただの勘だ。
なんとなく、嫌な予感がするから追いかける。
しばらく走れば、彼らは人気のない裏道に入った。
黒髪の少年はどこへ行くつもりなのかと考えた瞬間、建物の影から男が姿を現すと同時にバチッという音がした。
次の瞬間、少年は力なく地面に倒れ伏していた。

「う…」
「ホイ、感電終了」
「花礫!!」
「オイ、こっちのガキだ」

また別の男が現れたと思ったら、白髪の少年を担ぎ上げる。
少年は黒髪の彼の名前だろうものを叫びながら、男の腕の中で暴れ、必死に抵抗をする。

「え?こっちは?」
「抵抗しても面倒だろう、殺れ」



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