「え、イヴァ姐さん、名前ちゃんも連れてきたの?」
「そうよ、どうせ暇してるんだろうし、別にいいでしょ」
「イヴァ、どうして私はここにいるんだ?何があるんだ?」
「まさかイヴァ姐さん、何も言わずに連れてきたの…って、もういないし!」

降りたところにいた黄色くてデカイ猫。
現世では着ぐるみと呼ばれるものらしいが、その中から與儀の声が聞えてきた。
與儀はこんな着ぐるみを着て、ツクモやイヴァは煌びやかにめかしこみ、私は外套を着せられて、これから一体何が始まるというのだろうか。

「與儀、どういうことだ?」
「え〜っと…名前ちゃんも、ショーに参加することになっちゃったみたい…手伝ってくれる?」
「もちろん。私に手伝えることなら、精一杯手伝おう」
「そんなに意気込まなくても大丈夫だよ!歩いてればいいだけだから!」
「そうなのか?」
「うん!ショーってすっごく楽しいものだから、手伝ってとは言ったけど名前ちゃんも楽しんでほしいな!」
「そうか、そういうことなら楽しませてもらおう」

話してるうちにショーが始まるらしく、私と與儀は行進の列に並んだ。
街中に流れる軽快な音楽に合わせるように列は進み出す。
行進の両側にはたくさんの人だかりが出来ていて、小さい子供から大人まで、みんなこのショーを見に来ていた。
特に着ぐるみを着た與儀は子供から大人気だった。

「イヴァ」
「どうしたの?」
「なんだかすごいな」
「楽しいでしょ?」
「あぁ、こんな経験は初めてだ」
「それはよかったわ…っと、アラぼく、ごめんなさい?」

話している最中に、白髪の少年がイヴァにぶつかってきた。
イヴァを見つめてきょとんとしていた少年は、黒髪の少年に引っ張られるようにして人ごみに消えていった。

「なんだったんだ、今の子供は」
「アラ、こういうのはよくあることよ?気にしなくていいんじゃない?」
「そうか…」

なんとなく、少年たちが気になり、私は彼らの消えた方向を見つめていた。
胸騒ぎがするのは気のせいだろうか…。




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