一通りの稽古を終えて、斬魄刀の始解も解いて床に大の字で寝転び、息を整えていたとき。
盛大な音とともに勢いよくこの部屋の扉が開いた。

「名前!こんなところにいたのね!」

入り口に目を向ければ、そこにいたのは満面の笑みを浮かべ、先ほどとはうってかわって、惜しげもなく肌を露出させているイヴァ。
その笑顔に、なんとなくだが、嫌な予感がするのは気のせいだろうか。
案の定、その勘は当たってしまい、ズカズカと部屋に入ってきたイヴァは、仰向けになった私の腰に手を回し、あろうことかそのまま持ち上げたのだ。

「う、わ!イヴァ、何するんだ!」
「いいから行くわよ!」

何の説明もないまま、イヴァに担がれた私はとある部屋まで連れていかれた。

「ツクモー、入るわよ」

中にツクモがいるらしい、イヴァは中に声をかけてからドアノブを捻る。
室内へ入った途端、乱暴に下ろされた私。

「ぐぇ!」
「イヴァ、このリボンって…え?名前ちゃん?」
「あぁ、そのリボンはそっちじゃなくてこっちに通すのよ、貸してごらんなさい」

いつもよりめかしこんだツクモと話をしているイヴァの背中を睨みつけ、部屋を見渡す。
真ん中には椅子がいくつも置かれ、天井まである高い棚に、あちこちに置かれた箱、そしてたくさんの服。
ここは衣装部屋といったところだろうか。
それにしてもすごい量だな、乱菊が大興奮しそうだ。
きょろきょろと見回している間に、こちらにイヴァが手に黒い布を持って戻って来る。
私の目の前に立ったかと思うと、素早い手つきでそれ(マントのような外衣らしい)を私に着せ、頭まですっぽりと覆った。

「イヴァ…何してるんだ?」
「アラ、これだけでも充分じゃない!あとはこのランタンを持って…よしっ!じゃ、ツクモ、先行くわよ」
「え、えぇ」

私の右手にランタンと言っていた提灯のような灯りを持たせると、先ほどのように私を抱えたイヴァはその部屋を飛び出した。
その速さに私は手に持った灯りを落とさないようにするので精一杯だ。
気付けばいつの間にか艇の外に出ていて、イヴァは大きなカラフルな建物の近くに静かに降り立った。
私も今度は優しく降ろされる。



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