零式 | ナノ

 ああなんという事だろう

マキエ♀





「……でさ、それから告ったらしいよ」

「うそぉ」

「えっ…それ、本当なんですか」

女三人寄れば姦しい、とはよく言ったもので。

「でもぉーそれってどうなのー?」

「長くは続かないだろうねぇ」

というか三人どころではないのだが。

自習の時間。
作戦の時とは比べ物にならないほど気を抜くときは抜く女子達の一番興味の引かれる話題。
彼女達も不真面目というわけではないのだが、女というものはどうもこの手のスイッチが入ると止められないらしい。

「うんにゃ、三組の子に聞いた話なんだけど……」

女子の情報網恐るべし。諜報部もびっくりなトンデモネタが、彼女たちの間では往来しているらしい。

「あの、エースはどう思います…っ!?」

普段は真面目なデュースまでもが生き生きと輝くほどに彼女達にはそそられる話なのは、まぁ幼馴染であるレムがいるから理解はできる。
……そういえば、彼女も普段からは想像できないほど豹変するようなしないような…。
あまり、知りたくはなかった真実である。

(しかし、何故エースに聞くんだ…?)

確かにエースは男女関係なくよく話すし話しかけられるし(後者についてはあまりあまり快くはないが)、席も近かったのもあるのだろう。
しかし話のピークで恐らく男には到底ついていけない類のものである。
多分。

「え…いや、僕は」

「エースだって女の子なんだからそのくらい興味あるでしょー」

「自習だからってはしゃがないの」

「そうですよ。特にシンク、貴女また報告書再提出だったでしょう」

「はぁーい」

普段からエースと同じくらい0組の纏め役となっているセブンとクイーン。
二人の一言で渋々ではあるが女性陣が机に向かい始めたようだ。

―――………ん?ちょっと待とうか。

何か大事なことを流しているような。

「クポポ〜。みんなちゃんと自習してたクポ?ちゃんとしないと、クラサメ隊長に言いつけるクポよ〜?」

何気恐ろしいことを言いながら、教室に入ってきたモーグリの言葉と共にチャイムが鳴り、授業が終わったことを告げる。

(――――あ)

引っかかっていたものの核心に気付き、愕然とした。

「マキナ?どうかした?」

レムが問いかけてくるがほとんど耳に入ってこなかったような気がする。



「エース!」

先ほどの話の続きをしていた女性陣に捕まった様子のエース、しかしそんなことはどうでもいい。
先ほどから混乱して、頭の中で疑問が右往左往している。エースは正直、厄介なのに同時につかまったという、まぁ正直言ってしまえば面倒くさいという気持ちでいっぱい
だった。

「どうかしたのか?」

とりあえず挙動不審なマキナを宥めつつどういう訳かを聞いてみる。

「いや、あの…エース。事実確認をさせて欲しい」

「事実確認?」




「おまたせー」

シンクが片手をぴょこんとあげ別室から戻ってきた。

「ってあれ、エースっち隠れてないで出てきなよう」

「しかしマキナ、まさか知らなかったんだな」

セブンが苦笑気味に肩をすくめる。

「だって誰も思わないだろう。それに、誰も何も言わなかったし…」

「まぁそれは私達も悪いな。…と、エース。往生際が悪
いぞ」

セブンとシンクに引っ張られ扉の影からおずおずと出てきた人物。
それは今まで「彼」だと思っていた「彼女」で。

出てきたのはエース。
先ほどと何も変わらない。
下のスラックスがスカートに代わっている以外は。
今エースは女子のスカートにハイソックスという格好で、この格好を実際見てもまだ自分の頭はなかなか現実を受
け入れようとはしないみたいで、結論から言ってしまえば、エースは実は女。だった
らしい。

「ね。違和感ないでしょう?」

デュースが自信たっぷりに言うと、

「しかし、エースのスカート姿久しぶりに見ましたが、やっぱり可愛いです…!」

エースの両手をがっちりホールドして目をキラキラ輝かせている。

「うーん…でもやっぱりなんだか慣れなくて」

「エース、その…本当に女だったんだな」

「ん?あぁ、まぁ隠してるつもりは全くなかったんだが…ごめんな、騙すようなことして」

ずっと一緒にいた0組だから当然エースについてもみんなが承知のことで。

「エースは胸がないから
なぁ」

「うるさいな」

サイスのからかう様な一言に、やはり言われてみれば。
本当に女の子、の反応である。
普段から華奢なタイプだとは思っていたものの、やはり、細く適度な筋肉のついた足は白くすらっとしており、体のラインもなぜ今まで気付かなかったのかと思うくらいに女の子のラインである。

「あー…いや。気付かなかった俺が悪かったというか」

なんだろう。今まで完璧に男だと思ってきたエースが女だった。たったそれだけの事実で、自分はこんなにも動揺するなんて。別に男女間の偏見など持っていないし、これまでの生活がなにか変るという訳でもない。

「そうか…良かった」

ただ変わった、と言って良いのかもしれないことは、そう言いはにかんだエースに対して、まるで心臓を鷲掴みにでもされたような強烈な感情が生まれたことくらいだろうか。






「でももうスカートは履かないと思うし」

「……可愛かったのにな」

「え?」

「いや、なんでもない」






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丹羽様リクエストでマキエで♀化です*
女の子エースはどちらかといえばお胸は小さめが好みです^o^
あんまりマキエってないような...その後変わらない態度でいるエースにマキナだけドギマッキナしていればいい
丹羽様リクエスト有難うございました!!



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