零式 | ナノ

 忙しなきは誰が為

9A/ほのぼの





「ナイン、重い」

授業終わりの0組教室。休み時間の間は教室にいる者もまばらで、その中で金髪にのしかかる金髪。本を読んでいたはずのエースだが、どうやら暇らしいナインが上にのしかかってきてゆっくり読んでいられない。文句を言うがそれで聞くなら簡単で。そういかないからさっきから重い、暇の繰り返しなのだ。逃げようにも肩にナインの腕ががっしりと乗っていて逃がすまいとしている。

「おいクイーン、…あれどうにかなんねぇのか」

「はぁ…どうにかなるならとっくにやってます」

その様子を傍から見ていた者にとってそれは、単に仲睦まじいところを見せつけられているようなもので。サイスが音を上げクイーンに助けを求めるがこれはいくら聡明な彼女であっても解決しがたい問題である。

「そうだ!シンクちゃん良いこと思いついた〜」

そこに何故か面白そうに食いついたのはシンク。他に教室にいたセブンを呼び寄せ顔を寄せ合い奇妙な女の集会を始めた。シンクの考え付いたことだから突拍子がないのは予想がつくが、ここに男衆が居たらそれはそれで面倒くさいことになっていたことだろう。シンクが思いついた良いことというのは、周囲も気にせず公然といちゃつく二人を邪魔してやろうという事なのだ。

「何かと思えば……悪いが私は辞退させて」

「だめー。セブンもするの!」

何とか逃亡を図ろうとしたセブンだが、シンクにしっかりと腕を掴まれ逃げられない。意外と力が強くセブンは完全に捕まってしまった。他の二人もいまいち納得はしていないようだったが、仕方ないのと一抹の悪戯心でシンクのアイディアに同意した。

「それじゃー早速…」



「エース、ちょっといいですか」

クイーンはエースに近づくと、以前に探していた本が見つかったからクリスタリウムに付いて来て欲しいとのこと。それに何の疑いもなく肯定して席を立とうとするエースだが、それは叶わず肩に置かれたナインの腕に力が込められ数ミリも体が浮くことは無かった。ちらりとナインを見るとナインは完璧番犬モードになっており、それに困ったエースが今度はクイーンの方を見れば、クイーンは隠しもせず舌打ちをした。…こんなキャラだっただろうか。すると今度はシンクとセブンが近づいてきた。

「すまないエース、シンクの」

「エースっち〜報告書手伝ってぇ」

シンクの常用手段である。

「私では手におえなくて、だな」

「あーおい、エース。あたしも手伝って欲しいんだけどよ」

既に勢いだけでこの場からエースを連れ去ろうとしている女子陣にエースはどうするべきかと女子の精神的な圧迫とナインの物理的な圧迫で働いてもいない思考を何とか回転させようとした。

「ナイン、まずは離してくれないか」

まずは手近なところから片付けようと努めて真面目にナインに訴えかけるが、ナインは自分と一緒にいるのが嫌なのかと訳の分からないことを言い出す始末で。

「昨日なんかはお前の方から」

「!!!はっ…!?何言って」

ナインが何を言うかこの時は素直に働いたエースは、否定の言葉が速いか手が速いかでナインの口を手でふさいだ。訝しげな女性陣に疑念の眼差しを向けられ、尚且つ両ばさみのこの状況から逃げられるわけでもない。不満げなナインの視線を感じながら、エースは無意識に深いため息をついた。





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猛者もっさ様リクエストでほのぼの9Aです
あれ...ほのぼの?これほのぼのってないような^o^
ナインはエースにべったべたしてるくらいがちょうど良いんじゃないかな
女子は別に悪くないけど甘い雰囲気放出すんのもいい加減にしとけよ笑みたいな
猛者もっさ様、リクエスト有難うございました!!



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